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【ジェルヴェとソゾとカタシロ】サイン地獄へご招待

2020/12/31 23:17
CP無しSSS100個書けるかな期間
「や、おはよう、お二方」

 ソゾと会話をしながら入った休憩室に先客がいたらしかった。緑色の目をうっそりと細めてその目でソゾをしっかり捉えながら手にかなりのファイルを持っているジェルヴェがゆったりと立ち上がる。

「げっ、ジェルヴェ」
「ふふふ、ソゾ、会いたかったよ」
「俺は会いたくなかったよ?」

 そんなことを言いながら背中に隠れたソゾを睨むがあまり効果がない。ジェルヴェからは含み笑いを向けられていて困る。

「ソゾ、そんな事言うんじゃない、ジェルヴェが傷つくだろ」
「ジェルヴェがこの程度で傷つくかよ」
「酷いなあ、傷つくかもしれないでしょ」
「そうだとしても傷浅い方だろ!?でもまあごめんだけどさ!!」

 にこにこと笑って、肩まで揺らしているジェルヴェの精神が図太いことは周知の事実ではあるので傷つくという言葉には確かに、素直には頷きかねる。

「カタシロ大佐、お願いがあるんですが……、後ろにいらっしゃるサザナミ大佐と二人っきりにしていただけませんかね」
「ああ、俺は構わないんだが」

 ソゾにがっちりと腕を掴まれて盾にされている為動きにくい。

「俺は嫌なんだけど!!嫌なんですけど!!」
「私と二人になれるのが嬉しいからって、はしゃがないはしゃがない」
「はしゃいでないけど!!!??」
「俺を軸にして回るんじゃない」

 ゆるゆると追い詰めていくジェルヴェと本気では逃げないが嫌がってはいるソゾの間に挟まれっぱなしだ。

「サインが欲しいんですけどね、私」
「いやーーーだーーー!!!なんでそんなあるわけ!?」
「私に言わないで下さいよ。恨むならこれを期日ぎりぎりに上げて来た連中に言うんですね」

 ほら、と言いながらジェルヴェがソゾの二の腕を掴む。彼は非戦闘員だから力は勿論ソゾに劣るのだが、掴まったソゾは諦めたように項垂れる。

「あーーもーーー、ミケとイチャイチャしたかったのに俺ぇ」
「今度都合つけてあげますよ、さ、ソゾちゃん、ジェルヴェのお兄ちゃんとあっちに行こうか」
「はあいはあい、ちくしょー」
「イイコですねえ、ソゾちゃん」
「それやめて」
「ハハハハハ!!」

 ジェルヴェが声を出して笑うのにつられて噴き出してしまう。兄弟ではないが昔から手がかかる弟のようにジェルヴェはソゾの事を可愛がっている。ソゾもそれはそれで、嫌ではないらしい。

「仲が良いな相変わらず」
「まあなーー」
「おや、それはどうも」

 にこにこと嬉しそうに笑いながらソゾを引き連れていくジェルヴェを見ながら、そっとソゾを応援するくらいしか出来ないのだが。
× × × × × × ×

サインを書かせたい人、逃れたいけどやらざるを得ない人……

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