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【ギルコデ】気遣いに不器用返し

2020/12/31 23:16
CP雑多SSS100個書けるかな期間
 妙な世界に飛ばされたようだというのはすぐにわかって、それでも色々思う所も悩むところもぐるぐると受け入れがたいこともあったりしながらなんとか慣れて来たと思う。隣国の兵がいるだとか、ヤルヴァ隊長がいらっしゃるだとか色々、緊張もあるが、なんとか、同年代と思われる他の世界から来たという人たちとも会話、が、一応できている、と思う。
 唯一困っている、というか悩ましいと言えば、コーデリアさんにますます話しかけづらくなってしまっていることくらいだ。隊長もいるうえに、仲良くなったらしい方たちと楽しそうに話しているのを邪魔することは憚られてめっきり会話できていない。もともとそんなにしていないだろというセシルの言葉に返す言葉もない。

「ぐ、コーデリアさん……」
「はい」
「うわあ!!」
「わあ!!」

 誰もいない娯楽室の椅子に座って、彼女の名前をつい零した、ら、まさか返事が返ってきて顔を上げる。驚いた顔のコーデリアさんがそこにいてついあたりを見回してしまう。

「ど、して、なん、で」
「セシルさんが、ギルバートさんが呼んでいたからと」

 セシル!!!!!!!あいつ!!!!!

「呼んで、ません」

 俺の馬鹿野郎。嘘でもはいと言う所だとさすがにわかっていた。わかっていたのに嘘をつきたくなくてそんなことを言ってしまった。せっかくセシルがくれたチャンスだったのに、と項垂れたいのを耐える。

「そう、なんですか?」
「あいつ、の、勘違いと、」
「そうでしたか」

 ふんふん、と頷くコーデリアさんは、友人が増えたからなのか少し明るくなったように思う。笑う顔もよく見るし、良い事、と思っている。

「さっき、頭を抑えてたんですけれど、ギルバートさん頭痛でもするんですか?」
「え」
「無理してませんか?熱、とか」
「な、」

 ないです、という前に彼女の掌がそっと額にあてられる。低い体温がなんというかますます意識をそこに向ける要因になってしまって顔があつい。

「ない、です、大丈夫」
「そうですか??……ええと、ギルバートさん、頑張りすぎないでくださいね?」
「は、気を付けて、いますが」

 隣の席にちょこんと座っている彼女が可愛い、とつい見てしまう。椅子が大きいせいもあるが、ぽすんと収まってしまっている様子が、可愛い、というか、守りたくなる、と思う。こんなに小柄なのに、時折行動的な所も見かけて、色々彼女を知れてはいる。そこは、嬉しいと思う。思うが、やはり隣にいるのが落ち着かない。

「私も気を付けます、一緒に気を付けましょうね」
「ン………、は、い」

 一緒に、という言葉が心臓を煩くする。そして、自分が単純だとつくづく思いしってしまう。ああ、あとでセシルにどうだった、なんて聞かれるんだ、と思いながら久しぶりの会話が嬉しく思う。
× × × × × × ×

切り返し下手くそマン

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