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【ノニエル】歩み寄りと嫉妬心
2020/12/31 23:12ノニン×エデルガルド(男女)SSS100個書けるかな期間
「お前は、」
そこまで声をだして思い止まってしまう。突然「お前は心が狭いのか」と聞くのは違う気がする。
以前、マサチカ・クチナシに言われ、シャガにまで不思議そうな顔をされたことを思い出す。ノニン・シュトロムフトは度量が狭い男ではない、と言った時だった。かなり懐の広い男なのでは、と認識していたものの、私にだけそう見せているだけで、他にはそうではないのだろうかと悩む。
「俺がなにか」
お互いの作業の終わった時間、建物の隅でこうして会ってはいる。周囲も、いい加減分かってはいるのだろうが放っておいてくれるのは有難いと思う。
離れた場所に立っていた男は不思議そうに此方を見る。
「お前は、誰にでも優しいと私は、思う、思っている。それを、伝えようと思っただけだ」
ぽそりと零す言葉を男は聞き取ったらしい。なんとも言えない笑い声が聞こえて、顔を上げると、男が申し訳なさそうな笑顔を浮かべて遠くを見ている。
「そんなに、レスライン殿が思うほど優しい男ではないですよ」
「そ、なのか……」
「はい」
なんでもない、という風に言われたが、男がそういうならそういう一面があるのだろう、と思うことにする。そして、マサチカ・クチナシやシャガはそれを見たことがあるのだろう、と思う。だからああいう顔をしたのかと考えれば納得もいく。
気配が近くなった、と顔を上げれば、離れていた男がすぐ隣に立っていて、こちらを見下ろす。
「貴女に見せたくないだけで、……まあ、その、嫉妬もしますし」
「そう、なのか??」
「ええ、それは勿論」
手を取られ、口づけを手の甲へ落とされる。相変わらずこういう行動は照れないのだなと思いながらどぎまぎしていると男と目があう。
「ですが、だからと言って、貴女の行動に制限をかけたいわけじゃない」
「そ、うか」
「はい、ですから、その、そう思って頂けていることは嬉しく思います」
「……そ、その、色々、私の所為で、お前が制限を己に課しているなら、申し訳が、なくてだな、」
「そうしたいから、そうしているんです。気になさらないで」
「そ、そ、そうか、その、私に、出来ることがあったら、進言してくれ、……そ、の、こ、恋人、なので、その、」
らしくない、と思いながらも言わなくては伝わらない。顔が熱い自覚は十分ある。上げることはできないが、言葉で伝えるくらいはしておかなくてはと話す間、男は何も遮らない。
「もし、そういう、気持ちになった時はお声がけさせていただきます」
「お、あ、ああ、わかった、うん、わかった」
多少、僅かに、歩み寄ることは出来たのだろうか、と思いながら男の返事にほっとした。
× × × × × × ×
それはもちろん嫉妬するノニンちゃん
そこまで声をだして思い止まってしまう。突然「お前は心が狭いのか」と聞くのは違う気がする。
以前、マサチカ・クチナシに言われ、シャガにまで不思議そうな顔をされたことを思い出す。ノニン・シュトロムフトは度量が狭い男ではない、と言った時だった。かなり懐の広い男なのでは、と認識していたものの、私にだけそう見せているだけで、他にはそうではないのだろうかと悩む。
「俺がなにか」
お互いの作業の終わった時間、建物の隅でこうして会ってはいる。周囲も、いい加減分かってはいるのだろうが放っておいてくれるのは有難いと思う。
離れた場所に立っていた男は不思議そうに此方を見る。
「お前は、誰にでも優しいと私は、思う、思っている。それを、伝えようと思っただけだ」
ぽそりと零す言葉を男は聞き取ったらしい。なんとも言えない笑い声が聞こえて、顔を上げると、男が申し訳なさそうな笑顔を浮かべて遠くを見ている。
「そんなに、レスライン殿が思うほど優しい男ではないですよ」
「そ、なのか……」
「はい」
なんでもない、という風に言われたが、男がそういうならそういう一面があるのだろう、と思うことにする。そして、マサチカ・クチナシやシャガはそれを見たことがあるのだろう、と思う。だからああいう顔をしたのかと考えれば納得もいく。
気配が近くなった、と顔を上げれば、離れていた男がすぐ隣に立っていて、こちらを見下ろす。
「貴女に見せたくないだけで、……まあ、その、嫉妬もしますし」
「そう、なのか??」
「ええ、それは勿論」
手を取られ、口づけを手の甲へ落とされる。相変わらずこういう行動は照れないのだなと思いながらどぎまぎしていると男と目があう。
「ですが、だからと言って、貴女の行動に制限をかけたいわけじゃない」
「そ、うか」
「はい、ですから、その、そう思って頂けていることは嬉しく思います」
「……そ、その、色々、私の所為で、お前が制限を己に課しているなら、申し訳が、なくてだな、」
「そうしたいから、そうしているんです。気になさらないで」
「そ、そ、そうか、その、私に、出来ることがあったら、進言してくれ、……そ、の、こ、恋人、なので、その、」
らしくない、と思いながらも言わなくては伝わらない。顔が熱い自覚は十分ある。上げることはできないが、言葉で伝えるくらいはしておかなくてはと話す間、男は何も遮らない。
「もし、そういう、気持ちになった時はお声がけさせていただきます」
「お、あ、ああ、わかった、うん、わかった」
多少、僅かに、歩み寄ることは出来たのだろうか、と思いながら男の返事にほっとした。
× × × × × × ×
それはもちろん嫉妬するノニンちゃん