SSS倉庫

【萌ガナ】雨の日とイイこと?

2019/03/04 03:51
萌葱×ガナッシュ(男男)雨の日のふたり
「あ」

 しまった、とぼやいた言葉に机の上に広げた辞書とノートにかじりついていたガナッシュさんが顔を上げてこっちを見た。ごめん、と咄嗟に謝ると首を左右に振られる。

「雨降ってきた…傘持ってきてなかったな、って思って」

 風を入れる為に開けていた窓を指さす。からりと晴れていたそらは徐々に遠くからどんよりと重そうな色をした雨雲が近づいてきていて、雷も聞こえてくる。これから本降りになるんだろう、と思いつつそうなると帰りは傘を借りないといけないな、と考える。
 雨が降ってきたことでそよりと涼しい風が入ってくるのはありがたいが、ぼつぼつと降る大粒の雨がどんどん乾いたアスファルトやら隣の家の屋根の色を変えていくのを見て困ったななんてため息も出てしまう。

「傘、使ってくだサイ…大丈夫」
「でも一本しかないだろガナッシュさん」
「平気です、家から明日、出ないノデ」
「ええ……?」
「……モエギさんが、風邪ひくより、良いです」

 もごもご、と呟いて俯いた姿に、可愛いと思ってしまう。心配してもらっているのも勿論嬉しい。

「えーーっとじゃ、じゃあ、…泊っていくの、は、ダメ?」
「え…?」
「明日俺休みだし、」
「泊る…?」

 ぱちぱちと数度瞬きした後、ぼわ、と音が出そうなくらい真っ赤になったガナッシュさんにつられてこっちまで赤くなる。

「や、ちが、ちがわなくはないんだけど、でもそんな気でいったんじゃないっていうか!!!疚しい気持ち無かった!!ごめん!」
「ぁ、そ、そう、なんですカ?ご、ごめんナサイ…私、」

 いやそんな顔されると俺もさすがに、「えっ?いいの??」って思ってしまうからやめて欲しいようなもうちょっと見たいような気持になる。

「モエギさん、と、スるの久々だな、と思って、ごめ、んなさい」

 ああああ、と頭を抱えたい。
 ダメ、それはダメでしょガナッシュさん、折角俺自分で鎮火させたのに。

コメント

コメントを受け付けていません。