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【リンカタ】細やかな幸せであること

2020/12/24 04:09
リーンハルト×カタシロ(男男)SSS100個書けるかな期間
「リーンハルト・アロン」

 自分の事を呼び止める声に立ち止まる。はぁい、と間延びした声で後ろを見れば大佐がやってくるところだ。

「最新版のデータがあがってきた、眼を通しておけ」
「はぁい、ありがとうございますー」

 とん、と渡された小さな袋にはデータが入ったカードだとかそういうものが入っている、のはいつもの事なので気にもせずに受け取る。

「ではな」
「はーい」

 恋人、とはいっても内密の事だし、まして上司だ。久々に会えたことに浮かれることはまずい。本当は嬉しいですよとか言いたいけれど、ぐっと堪えてなんとかいつも通りに振る舞って、いつも通りあまり使わない自室に戻って、袋をあけて、いつもと違うものが入っている事に気づく。万年筆。随分アナログなものが入っている、と思いながらこれが意図的に入っているという事はわかる。自分の誕生日、でもないし、記念日、でもないし、と思いながら取り出す。酷くシンプルだが安くはないんだろうと思う。
 端末をそっと起動して、大佐にプライベート用のアドレスでお礼を述べるついでに、何かしましたっけ、なんて一言添える。そんな特別な事があったとかだったら、忘れているなんてことは無いと思うんだが念のため。
 暫くして、と言っても数時間後。返ってきた返事は酷くシンプルだ。お前に贈りたかったからだ、とだけ簡潔に書かれたものに顔が熱くなる。
 今度お礼をさせてください、と手短に返して顔を手で覆う。なんだか酷く照れ臭いというか嬉しいというか、細やかなことでこんなに喜んじゃって子どもっぽいと思われるんじゃないかとか考えながら眠りにつく努力をした。

 朝、返事の内容が、「今度休みが合えば一緒に過ごせるか」とだけ書いてあるのを見て、また顔が熱くなった。

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小話100個かけるかなちゃれんじ

年上の恋人isかわいい

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