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【ノニエル】有意義な時間のはなし

2020/12/24 03:47
ノニン×エデルガルド(男女)SSS100個書けるかな期間
 遠目に、男が女性と会話をしているらしい姿が見て取れて、まあ、そうだろう、となんとなく思う。私より、ああいう小柄な女性の方がよほど釣り合いが取れるように思う。男は優しいだろうし、そこら辺の、女を下に見る男よりもウケは良いんじゃないかと思う。
 そんなことを気にする自分がバカみたいに思えてくる。傷ついているのじゃないが、それでも、そんな思考をする暇も、意味もまるでないのに、そんなことを考えてしまうのが無駄と思う。
 ふ、と呼吸を零して視線をあげると、目があったような気がして瞬きをしてしまう。いや、気のせい。気のせいだ、と思い直して立ち去ろうとすると男の表情が変わったように思う。それから女性に何かを話し、こちらに向かってくる男をどうして私は立ち去りもせず待ってしまったのかわからない。

「……レ、レスライン殿、」
「向こうに行った方が良い、有意義だろう」

 私と時間を無駄に使うよりは、と含んで言ったが伝わったかわからない。わざわざこちらにきて、話しかけてきた男に開口一番に言うことじゃ、なかったかもしれないが。私はそういう事しか言えない。

「ぅ、ん、その、」

 口元に手を当てて、少し迷うような素振りに睨み上げる。

「……、すいません。嬉しく、て」
「あ?」

 手を口に当てたまま、男は目を僅かに伏せる。

「貴女が、待って下さったのかな、と思い込んでしまって、嬉しく、」
「ま、っていたわけじゃない」
「は、はい、はい、それは、勿論、そうだと」

 どうしてそんなふうに思うんだ。お前の頭は花しか詰まってないのかと言ってやりたいが、外で話し込んでいる手前、強くも言えない。ただ、そういう仲だと勘違いされても困るのでやんわりした会話をするのも、考えものだ。

「……すいません、本当に」
「……べ、つに、勝手にすればいいだろ」
「でも、……その、貴女が嫌な事は、したくないから、仰ってください」
「は?」
「嫌、だったら、嫌だと言われないと、わからないから、」

 お願いします、と頼りない笑顔でもって、そう告げられる。そんなこといちいち言ってくる男は、お前くらいなものだと言いたいが、それも告げたところでだからなんだ、と思うと、言わない選択をしてしまう。

「お優しいことだな、他の女性に言ってやれ、そういうことは」

 その方が喜ばれるだろう、と思う。

「……でも、貴女が、」

 そこまで言葉を零して男が黙り込む。近くを人が通る気配がして、まさか気を遣われたのかと思う程度にはこの男と接触を持ちすぎた。

「私に構っても時間の無駄だとまだわからんのか」
「……はい、有意義だと思っているので、なんとも」
「……、」

 何がどうして有意義なんだ、といっそ、叫んで問い詰めてしまいたい。

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小話100個かけるかなチャレンジ

もじょもじょしちゃうのがすきなんだよな・・・・・

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