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【ノニエル】花を贈られる

2020/12/24 03:43
ノニン×エデルガルド(男女)SSS100個書けるかな期間
 あの子が間に居ない。そういう状態で男と歩くことが多くなっている。どうしたらいいかもわからないし、どういう反応をあの男が望んでいるのかもわかりかねる。「エデルガルド・レスライン」としてどういう対応をとるべきか、どういう反応なら良いのかわからない。
 嫌っているわけではない、と言ったものの何も、どうしたらいいかわからないままだ。

「レスライン殿、お待ちいただいて、よろしいですか」
「なんだ」

 少しだけですから、と男が言う。わかった、と頷くと花屋へ歩き出すのを見て、ぎくりとそわつくものの、ユッテに向けて買う可能性が高いのだからと思えばなんということはない。

「お待たせしました」
「ふん……見送りをさせろという割に私用も済ますんだな」
「ははは……、すいませ、ん」

 抱えた花束の花の本数は多くない。家に飾るのなら妥当だろう。時期だから秋の花が多いが、花弁が多く、大ぶりなものを買ったらしい。家に置くにしては少し凝りすぎている花の種類のようにも思うが、ユッテの事は大事にしているようだし、色々な植物を見ておくのは悪くないしな、と思考する。
 考えている間に家に着けば、男はいつも去っていく、はず。

「レスライン殿、おやすみなさい、」

 そういって、そう、言葉と一緒に差し出された花束に目を見開く。てっきり、いや、必ず、家に持って帰る為だと思っていた。包み紙も贈答用のリボンが付かないものだし、特別な様子だってなかったのに。

「花、は、」
「……お好きではありませんでしたか」
「好きだ嫌いだではなく。……か、飾るところが、ない、こんなもの、貰っても、」

 花瓶がないんだぞ、私の家は、と思うが、好きじゃないと突っぱねてしまえば良かった。

「そうですか、……なら、……一輪だけでも貰っていただけますか」
「は、花、なんて、ものは、」
「貴女に、贈ろうと思って買いました。貰っていただければ、幸いです」
「……ぅ、」

 綺麗だの、なんだのと、そんなことしか、そんなことばかり、この男は私に言う、と思いながら切り返すべき言葉が出てこない。微かに浮かぶ感情を否定しきれない。ぎこちなく、花を受け取ると男がほっとしたように笑うのが酷く不思議だ。

「ありがとうございます、我儘を聞いていただいて……嬉しいです、」

 それじゃあ、と告げて、男が去っていくのを少し呆けてみてしまう。

「(いつも、ほとんど、自分のせいにするんだな、)」

 男はいつもそうだ。私が何をした、じゃない。自分が、と。己が意見を、意思を通した、という素振りだ。

「(……私の、)」

 私の意思の所為だと言われた方が、まだいくらか、妙に緊張しないのに。そんなこと言いもしない。

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小話100個かけるかなチャレンジ中

常にノニンさんはエデルガルドさんの意見を大事にしてくれちゃうマンですね

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