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【ノニエル】素直になるには難しいから

2019/03/04 03:29
ノニン×エデルガルド(男女)
「くそ……」

 悪態をつく声がすぐ耳元で聞こえてくすぐったさを感じる。片腕しかない彼女を落さないようにしっかり背負いながら、早足で人目につかない道を選びながら彼女の家に向かっている。
 きっかけはちょっとしたことだった。国境を越えて侵入してきた相手方の兵士と彼女が一戦交えた際、向こうの打撃系の飛び道具が彼女の右足にあたった。その場は退ける事が出来たものの痛烈だったらしいその一撃で、片足を痛めた彼女は徒歩さえ危うく、有無を言わさず背負って来たのだ。プライドの高い彼女は人に自分の体をあまり触らせたがらない。申し訳なさを感じつつ、彼女と同性のレヴェンデル殿は「私が背負うより良いでしょう」なんて言ってどこかに行ってしまった。

「もう少しです、すいません」
「………よく私が背負えるものだな、貴様本当に戦闘経験がないのか?」
「さあ……どうなんでしょう」

 今一度彼女の右足を刺激しないように背負い直す。

「その……お、重いだろうが私は」

 ぼそりと零れた言葉はいつもの声音と程遠く自信がなさそうに思う。同時に小声で話したことで、個人的に話をしているのだとも思う。

「……その、えっと、…任せて頂けているという嬉しい重さですから別に」

 ぎゅう、と彼女の右腕が強く襟を掴んで、ぐんと引いた。照れているのだ、というのはなんとなく、わかるようになってきていて、それがまた酷く特別に思えてうれしい、なんて言うとまた彼女の機嫌を損ねるかもしれないので言えない。

「頼って、ください、これからも」
「私は誰かに頼るのは戦場以外では好かん」
「……そう、ですか」

 彼女の気持ちを全て推し量るのは難しい。当然と言えば当然で、わかりきれないことが嬉しいような、寂しいような気持ちでもある。頼ってほしいけれど、頼れと言う言葉に素直に頷くのは彼女自身が許せないのだろう。自分に厳しい人だ。

「なら、……勝手にしますね」
「あ?」
「レスライン殿はよく、勝手にしろとおっしゃいますから、そうします。俺が気が済むようにします…」
「……悪趣味な男だ、本当に」

 こつん、と首筋に押し当てられた額の感触に、嬉しいと胸が躍ってしまうのを堪えながら、彼女の家へと急いだ。


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可愛いカップル描いちゃったー様から
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