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【IFCP】青年は毒牙を受ける

2020/11/23 03:11
IFCPのSSS
そうなんだ、毒ばっかりうけてんだわ

ガエル×オルソ

①悪い大人の毒牙
②悪い大人と毒牙

× × × × × × ×
「どうする?」

 尋ねるような、試されているかのような声に、動けない。どうする、どうする、とはどういうことなんだろう、と、絡ませられた小指を視界の隅にいれて、一生懸命思考をしつづける。

「どう、と、いうと」
「まさか、ガエル程賢いなら意味が汲めないほどじゃないだろうに」

 小指だけ、だったのに、手を重ねられ、優しく彼の、機械の指が全ての指に絡む。

「さ、どうする?」
「から、かわないで下さい、私、」
「ずっと俺とそういう関係になる事を望んでいるのか、と思っていたんだけど俺が付け上がっていただけだったかな?」

 優しい声で刺された言葉は心臓をきつく締めあげた。すべてわかっていた、とでもいうかのような言葉に、そんなに顔に出てしまっていたんだろうかと未熟さが悔しい。彼にそんな迷惑をかけるつもりはなかった。彼の話の端々に出てくる顔も知らない男に勝手に嫉妬していたのも、勝手に彼を好きになっていったのも、全て見透かされていたのかもしれないと思うと何も言えない。

「そんなことは」

 それでも彼のつけあがっていただけ、という言葉は否定したくて、なんとか声を絞り出す。

「それとも、50も過ぎたおっさんはガエルのタイプじゃあなかったかな」
「オルソさんは素敵です、年齢なんて、」
「そう」

 はっとして顔をあげて、飛び込んできたのはいつもの彼だった。やはり年齢と経験が成せるのだろう。落ち着いていて、自分よりも随分平然としている。すり、と優しく親指の腹で手の甲を撫でられて、背筋がざわざわとする。

「嬉しいよ、ガエルも、素敵だと思う」

 まるで秘密の合言葉を囁くように、そっと静かに告げられた言葉に顔が熱くなる。

「でも夢中になりすぎないようにな、俺、とっても悪い男だから」

 酷く、酷く優しい声だった。優しい声と、優しい手が頭をなでて、離れていく。どういう意味なのかわかりかねて見つめると、彼はまたふっと笑って、肩を竦めた。

「若い子を誑かしてるだけの悪い年上かもしれないから、気を付けろ、っていってるんだよ」

× × × × × × ×
実はリハビリじゃないけど結構文章ブランクがあって、手慣らしでかいたりしてたやつだったんですが、可愛いなって見返して思うしオルソさんが悪い男なので「そう、彼はそういう奴」ってしてる

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