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【カンオル】その素直さが劇薬
2020/04/04 04:43CP雑多セルフクロスオーバー
「だめでしょぉ、カァンちゃあん……女の子なんだからもっと無い神経たててつかってよ」
右目を長い前髪で隠して、大きな傷が目立つ左目はどうしてか出したままで、黒い毛並みに赤いマスクが目立つ。オルトロス様はカン様にそう言いながら私をそっと背中に隠すようにしている。私が真っ赤になって動けなかったのを咄嗟に離してくださったのだけど、まだ熱があるような手をつい触ってしまう。カン様の言葉に深い意味は無い、とわかっていてもはずかしいものは恥ずかしい。
「立ててんだろーーー」
「急に手を握らないの」
「あー??」
「き、き、気にしておりません、だ、大丈夫、です、」
「気にしてねえってさ」
「カン」
め、と声がして、カン様がむう、と唇を尖らせている。
「オルキデさんが異性が苦手なのわかってるでしょー」
「そうだけどよお」
「あ、え、と、あの、あの」
「だったら気を遣ってやんなさいよ、カンならできるでしょ」
「わあったよー」
気を遣われるようなことじゃ、とオロオロしながらも言葉にするのはダメかもしれない、と詰まっていると、カン様にごめんな、と言葉を貰う。
「それに、今のどんな会話してたかしらないけど、見る人が見たら口説いてるのかなって思うんだから気を付けてあげないとでしょ」
「さっきのでか?なんで」
「そーゆーもんなの」
「はー???」
そんなことないです、と言おうとしてやはり言葉を飲み込んでしまう。私みたいな人とカン様みたいな明るいお方がなんて、そうは見えないんじゃないかなと、
「口説いちゃだめなのかよ」
「そんな気ないのにダメに決まってんでしょ」
びくりと肩を跳ねさせて、ぐるぐると言葉が頭の中を回る。男性に口説かれたことは、ない。
「く、く、ど、」
「褒めんのはいいのかよ」
「褒めるのはまあ……オルキデさんが嫌じゃないなら良いんじゃないの」
「ふぅんそっか、わかった、気を付けるわ」
「そーしなさいね」
ごめんねオルキデさん、と、オルトロス様がそう目元で笑ってみせながら言う言葉に慌てて首を左右に振る。褒められる事は何もないけど、例え私を褒めても何も出せないとおもう。
じゃあね、と去っていくオルトロス様の背中を見送った後、カン様がこちらをじっと見降ろしてきて、首を竦める。
「ど、どう、なされたん、ですか、」
「俺はお世辞は出来ねえからな、口説くとかいうのも出来たもんじゃねえから心配すんなよ。勘違いする奴がいるなら俺が言ってやるからな」
「…は、はい、あ、ありがとうございます」
カン様はあまり上辺だけの言葉は述べるのが好きではない、というのは、真っすぐな物言いといつも向けて下さる真摯さで感じてはいた事だった。嫌は嫌だというし、好きは好きだという。そこが凄く、個人的にはなれないのだけど。憧れる素直さでもあった。
「言っとくけど、お前の事も俺なりに良い奴だと思ってるから褒めてんだからな」
「へ、あ……は、はい、はい」
「手も綺麗だと思ってるしよ」
そういって優しく手をとられてまたくらくらしてきた。他意はない、とわかっていて、素直に褒めて頂けているとわかっていても、恥ずかしい。
「お前の眼も綺麗で好きだし、あー、そうだ、お前笑ってる方がいいぜ」
「ひゃ、あ、ひゃい、」
「ははは!!なんだそれ!嘘じゃねえよ!」
嘘じゃないとわかっているから、たくさん、ぐらぐらするのです、と伝えたら、わかって下さるんだろうか。
「わ、わた、私も、カ、カン様の、お、お声、が、元気で、す、す、き、です」
「おう、そっか、そりゃよかったよ」
熱い頬を両手で抑えて、それでもニコニコ笑うカン様を見て、ああ、眩しい人だと改めて思いながら鼓動に見ないふりをした。
× × × × × × ×
いいね×会話
セルフクロスオーバー
右目を長い前髪で隠して、大きな傷が目立つ左目はどうしてか出したままで、黒い毛並みに赤いマスクが目立つ。オルトロス様はカン様にそう言いながら私をそっと背中に隠すようにしている。私が真っ赤になって動けなかったのを咄嗟に離してくださったのだけど、まだ熱があるような手をつい触ってしまう。カン様の言葉に深い意味は無い、とわかっていてもはずかしいものは恥ずかしい。
「立ててんだろーーー」
「急に手を握らないの」
「あー??」
「き、き、気にしておりません、だ、大丈夫、です、」
「気にしてねえってさ」
「カン」
め、と声がして、カン様がむう、と唇を尖らせている。
「オルキデさんが異性が苦手なのわかってるでしょー」
「そうだけどよお」
「あ、え、と、あの、あの」
「だったら気を遣ってやんなさいよ、カンならできるでしょ」
「わあったよー」
気を遣われるようなことじゃ、とオロオロしながらも言葉にするのはダメかもしれない、と詰まっていると、カン様にごめんな、と言葉を貰う。
「それに、今のどんな会話してたかしらないけど、見る人が見たら口説いてるのかなって思うんだから気を付けてあげないとでしょ」
「さっきのでか?なんで」
「そーゆーもんなの」
「はー???」
そんなことないです、と言おうとしてやはり言葉を飲み込んでしまう。私みたいな人とカン様みたいな明るいお方がなんて、そうは見えないんじゃないかなと、
「口説いちゃだめなのかよ」
「そんな気ないのにダメに決まってんでしょ」
びくりと肩を跳ねさせて、ぐるぐると言葉が頭の中を回る。男性に口説かれたことは、ない。
「く、く、ど、」
「褒めんのはいいのかよ」
「褒めるのはまあ……オルキデさんが嫌じゃないなら良いんじゃないの」
「ふぅんそっか、わかった、気を付けるわ」
「そーしなさいね」
ごめんねオルキデさん、と、オルトロス様がそう目元で笑ってみせながら言う言葉に慌てて首を左右に振る。褒められる事は何もないけど、例え私を褒めても何も出せないとおもう。
じゃあね、と去っていくオルトロス様の背中を見送った後、カン様がこちらをじっと見降ろしてきて、首を竦める。
「ど、どう、なされたん、ですか、」
「俺はお世辞は出来ねえからな、口説くとかいうのも出来たもんじゃねえから心配すんなよ。勘違いする奴がいるなら俺が言ってやるからな」
「…は、はい、あ、ありがとうございます」
カン様はあまり上辺だけの言葉は述べるのが好きではない、というのは、真っすぐな物言いといつも向けて下さる真摯さで感じてはいた事だった。嫌は嫌だというし、好きは好きだという。そこが凄く、個人的にはなれないのだけど。憧れる素直さでもあった。
「言っとくけど、お前の事も俺なりに良い奴だと思ってるから褒めてんだからな」
「へ、あ……は、はい、はい」
「手も綺麗だと思ってるしよ」
そういって優しく手をとられてまたくらくらしてきた。他意はない、とわかっていて、素直に褒めて頂けているとわかっていても、恥ずかしい。
「お前の眼も綺麗で好きだし、あー、そうだ、お前笑ってる方がいいぜ」
「ひゃ、あ、ひゃい、」
「ははは!!なんだそれ!嘘じゃねえよ!」
嘘じゃないとわかっているから、たくさん、ぐらぐらするのです、と伝えたら、わかって下さるんだろうか。
「わ、わた、私も、カ、カン様の、お、お声、が、元気で、す、す、き、です」
「おう、そっか、そりゃよかったよ」
熱い頬を両手で抑えて、それでもニコニコ笑うカン様を見て、ああ、眩しい人だと改めて思いながら鼓動に見ないふりをした。
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