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【カンオル】他意なき言葉が、この熱をあげる
2020/04/04 04:42CP雑多セルフクロスオーバー
見知らぬこの場所で、どうなるんだろう、と不安だった。頼れる人もいないし、知っている人も少ない。どうしよう、と思っていたけれど、パシア様というお友達が出来て(年頃も近くて明るい人だ)、レスライン様という人が何時も気遣ってくださって(怖いお方だけど)、それから、
「オルキデ、今暇か?」
「は、はいっ」
獣人のような見た目をしているカン様、という方にもお気遣いいただいている。少し、声が大きくてびっくりするのだけど。
「じゃあ俺の手伝いしてくれよ、いいか?」
「は、はい、参ります、」
「おう」
大きく歩幅をとるカン様の後ろをついていく。白いふわふわした毛と、くるりと撒いた尻尾がつねに、ぴ、としていて、お耳は少し先が頭を垂れている。
大きい瞳は真っ青で、見つめられてしまうとやっぱりこわくておどおどしてしまう。
「あの、ど、ど、どちら、へ?」
「あ?書庫」
「しょ、書庫、ですか………」
意外、というと大変失礼なのは承知だけれど、やはり意外、という言葉しか浮かばない。カン様は外でお仕事をよくされているし、光の下で動いているのがきらきらしていて素敵だな、と思う。内に籠るようなそういう作業は、あまり好んでいないことも知っている。
だけど今日は、レスライン様に何か言われたんだろうか、とか、シュトロムフト様に申し付けられたりしているんだろうかなんて思う。そうでなければ、じっとすることは好まない御方だ、と勝手に思っているから。
「書庫、で、何を、」
「整理整頓」
「せいりせいとん」
復唱してしまうくらいには、受けている印象とやはり異なる。カン様が好きそうなこととは逆の作業内容につい足を止めそうになって、必死に歩いていく。
「ああ、速いか」
「え……?」
「歩くの。言えよちゃんと、俺は言われねーとわかんねえんだから」
「す、す、すいませ、ん」
「何で謝んだよ、俺の方だっての。気にすんなよ」
でも、とか、だって、とか言いそうになるのを我慢して、素直に頷く。そうしてください、とカン様のご友人から頼まれたので、なるべく、反論をしないようにしている。
「カ、カン様が、内の作業をなさるのが、珍しくて」
「ああいつもお前のこと外に連れまわしてるからな」
「そ、そう、ですけど」
「よくわかんねぇけど、お前も王様ってやつなんだろ?あと女だし、日焼けさせんのよくねえってオルのやつがさ」
「そんなことないです、た、楽しいです、」
首を左右に振ってそう答える。日焼けも気にしていなかったし、王だって、なりたくてなっているわけじゃない。やらなくちゃいけないから、やっているだけでそんな気遣いは、
「あとお前の手にケガさせ過ぎてもヤだからな」
両手をとられ、じぃっと視線を指先に落としたカン様の、その、手の温度に顔が熱を持っていく。
「ち、ちか」
「あ、ほら、怪我してんじゃねえかよ、無茶すんなっていっただろ」
「こ、こ、このくらいは、へ、へいきで、わたし」
「包帯とか手当あとがない綺麗な手の方がお前の仕草にハマってて良いんだよ」
「ひゃぇ……」
きっと、他意無くにこりと花のように笑った彼に、頭の中まで熱くなっていく。
× × × × × × ×
いいね×会話
セルフクロスオーバー
「オルキデ、今暇か?」
「は、はいっ」
獣人のような見た目をしているカン様、という方にもお気遣いいただいている。少し、声が大きくてびっくりするのだけど。
「じゃあ俺の手伝いしてくれよ、いいか?」
「は、はい、参ります、」
「おう」
大きく歩幅をとるカン様の後ろをついていく。白いふわふわした毛と、くるりと撒いた尻尾がつねに、ぴ、としていて、お耳は少し先が頭を垂れている。
大きい瞳は真っ青で、見つめられてしまうとやっぱりこわくておどおどしてしまう。
「あの、ど、ど、どちら、へ?」
「あ?書庫」
「しょ、書庫、ですか………」
意外、というと大変失礼なのは承知だけれど、やはり意外、という言葉しか浮かばない。カン様は外でお仕事をよくされているし、光の下で動いているのがきらきらしていて素敵だな、と思う。内に籠るようなそういう作業は、あまり好んでいないことも知っている。
だけど今日は、レスライン様に何か言われたんだろうか、とか、シュトロムフト様に申し付けられたりしているんだろうかなんて思う。そうでなければ、じっとすることは好まない御方だ、と勝手に思っているから。
「書庫、で、何を、」
「整理整頓」
「せいりせいとん」
復唱してしまうくらいには、受けている印象とやはり異なる。カン様が好きそうなこととは逆の作業内容につい足を止めそうになって、必死に歩いていく。
「ああ、速いか」
「え……?」
「歩くの。言えよちゃんと、俺は言われねーとわかんねえんだから」
「す、す、すいませ、ん」
「何で謝んだよ、俺の方だっての。気にすんなよ」
でも、とか、だって、とか言いそうになるのを我慢して、素直に頷く。そうしてください、とカン様のご友人から頼まれたので、なるべく、反論をしないようにしている。
「カ、カン様が、内の作業をなさるのが、珍しくて」
「ああいつもお前のこと外に連れまわしてるからな」
「そ、そう、ですけど」
「よくわかんねぇけど、お前も王様ってやつなんだろ?あと女だし、日焼けさせんのよくねえってオルのやつがさ」
「そんなことないです、た、楽しいです、」
首を左右に振ってそう答える。日焼けも気にしていなかったし、王だって、なりたくてなっているわけじゃない。やらなくちゃいけないから、やっているだけでそんな気遣いは、
「あとお前の手にケガさせ過ぎてもヤだからな」
両手をとられ、じぃっと視線を指先に落としたカン様の、その、手の温度に顔が熱を持っていく。
「ち、ちか」
「あ、ほら、怪我してんじゃねえかよ、無茶すんなっていっただろ」
「こ、こ、このくらいは、へ、へいきで、わたし」
「包帯とか手当あとがない綺麗な手の方がお前の仕草にハマってて良いんだよ」
「ひゃぇ……」
きっと、他意無くにこりと花のように笑った彼に、頭の中まで熱くなっていく。
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