SSS倉庫

昼下がりのふたり

2020/04/04 04:39
ノニン×エデルガルド(男女)ヤルヴァ×ヨルク(男男)
 淡い青の髪と、少し深い同じ青の瞳が美しい人だなと思った。飄々としたところは今まで周囲に居なかった同性なのでどう受け取って返事をすればいいかわからないが、彼はそれさえあまり気にしない人だ。異国の言葉も堪能で、まあ、それは伏せて通訳をつけてはいるものの、興味があればなんでも触れてみたい、といった人なのだな、と思いながら誘われてやることになった陣取りのゲームの、盤上を見ている。
 動きは大胆で、もっと攻撃的に来るのかと思っていたものの案外慎重に動きつつ、こちらの出方を伺うため囮の駒を動かすことには躊躇いがない。それを捨てる気で動かす為か、取られたところで悔しそうにもしない。

「ノニンは上手だね」
「はぁ、ええと、ありがとうございます」
「結構君って、大胆なんだね」
「ははは……」

 いつも控えめだから意外だ、と笑う彼は思考にふける時間が短く、今のところ長考しない。

「長考しないんだねえノニン」
「お互い様です」
「オウル殿も、大らかに見えてちっとも長考しないんだよ。判断力が違うんだろうねえ」
「そうなんでしょうね」

 一手、一手と詰めていきながら、相手の駒をとり、手勢に加え、お互いとりあう。

「君は、レスラインさんとはこういう遊びはしないのかな」
「……お忙しいですから、それに、あまり関わっていませんので」
「そう?良い切っ掛けになると思うけどどうだろう」
「ははは、」

 明確な事は言わないでおいて下さるのは彼の優しさなのだろうか。それでも彼女に好意を持っていることは見透かされているらしいし、時々ワザとなのか、こちらの感情をつつくようなことを言う。わざと、と思うのは、彼が一言で留めてそれ以上煽らないという、それきりの言葉に留めて下さるからだ。煽るに煽られたら腹が立つのかもしれないが、そうではない。

「ヨルクもそう言えばこういうの遊んでくれないな」
「そうなんですか、」
「彼仕事に真面目だからね、最近やっと普通の話も乗ってくれるけど、仕事中なので、っていって断られちゃうんだ」
「ああ、なんというか……あまり詳しくまだ存じないのですが、その、ヨルク殿らしいですね」
「少しは俺に構ってくれてもいいんだけどなあ」

 俺は彼と仲良くなりたいのにね、と笑う彼の、奥が見えない。見えないが、ヨルク殿と親しくなって情報を聞き出そうとするならわざわざこんな話を自分にしないだろう、と思いながら、腹の見えない彼との盤上の読み合いに意識を戻した。
× × × × × × ×
いいね×会話のやつ

コメント

コメントを受け付けていません。