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【ハレィンとギー】賑やかな故郷の人

2020/04/04 04:35
CP無し
「美しい!!!素晴らしい!!!!ハレィン!!!!なんと!ああ!素晴らしい…ッ!!いつみても本当に貴方の瞳は観察し甲斐がある!!たまらない!」
「そうですか?」

 両手で頬を掴まれて、強く視線を注がれるのを感じながら見えない眼で目の前にいるのだろう同郷のギーさんを見る。彼はレヴェンデル様とお知り合いだそうで、是非、私の瞳を見たい、と懇願して屋敷に時々来るようになった御方だ。
 顔を触って拝見してもよろしいかと尋ねた時も彼は二つ返事で触らせてくれた。髪の毛は長かったり短かったりする時があって、眼鏡、をかけていて、耳に飾りをつけている。よくしゃべるし、お仕事のお話を聞かせて下さる。
 自分の眼が希少なものだ、というのは知っているけれど、こんなにも熱心にはっきりと褒めてくれるのは彼くらいだろうなと思う。

「私の眼はそんなに楽しいものですか?」
「楽しいが、娯楽的な楽しいとは違うな、これはまだまだ知られていないことが多いものを探り考察し照らし合わせていくものに似ている。冒険みたいなものだ!ハレィン、貴方のもつ銀河の瞳は外から見れば病気に由来するものだがこの揺らめきは君が生きていてかつこれほど至近距離で観察することを赦してくれるから見れるものなんだ、美しい、本当に素晴らしい、いったいどうなっているのか気になってしょうがない!!」
「ふふふ、そうですか、夜空のようだと、イオさんやレヴェンデル様に仰って頂けたことがありますが、お見苦しくないのなら良かった」
「貴方は目鼻立ちも素晴らしいのに見苦しいなんてことがあるのか!!??まあ顔の美醜は私はどうでもいいんだが!私が興味があるのは君のもつこの活動し続ける体に備わった瞳だ!!」
「どうぞ、お好きなだけご覧になって下さいね」

 この瞳が、”生きたまま”そこにある、ということがどれほど少ない事例かというのはわかっている。多くは「瞳」だけを求められ、付随する肉体は捨てられることが多い、と聞いていたから、自分もそうなるのだろうと思っていたけれど、良いご縁に恵まれて、こうして素敵な主人と素敵な友人と、それから少し変わっているらしい同郷の方とも巡り合えた。

「撮影しても!!??」
「ええ、勿論」
「感謝します!!星詠みの巫!!」

 ファゼットさんは、ギーさんのことを喧しい、とおっしゃるけれど、彼の隠しもしないものいいは、私はとても好ましい、と思って笑ってしまう。彼のおかげで、私は私の容姿を詳しく知れたりもしたのだ。

「ギーさん、この後よろしかったら一緒にお茶でも」
「頂いていきますとも」
「ふふ、ありがとう」

 悪い人ではない。むしろ私にとっては、一緒に過ごす時間を賑やかにしてくれる人の一人だ。

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ギーさんは喧しいんです

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