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【リンカタ】お前という男は

2019/03/04 02:36
リーンハルト×カタシロ(男男)
「あ、これって、あれですねえ」

 のんびりとした声が耳になじむように通っていく。手渡していたミネラルウォーターの容器から口を離したリーンハルトは、飲み口をみながらなにやら神妙な顔をしている。
 軽く咳き込んだ彼に水分は取っているか、と尋ねれば、そういえば忘れていたと返され、飲みかけでも気にしないのならと渡したのだ。

「あれというと」
「いや、いえ、なんでもお、お水ごちそうさまでした」

 そういって先ほど渡したミネラルウォーターを返される。ああ、と返事をしたが、少し彼の耳が赤いのだけが気になる。どうかしたのか、と聞きたいのだが、なんでもない、というのなら聞かない方がいいのだろう。

「それだけで足りるのか」
「じゅーぶんですぅ」
「水分補給は怠るなよ」

 ちらり、とまだ少し赤い耳を見ながら、受け取った容器のキャップを開ける。半分も飲まないで返されたそれはまだたっぷりと入っていて、ふと、飲み口に唇を押し当てたところで、年下の恋人の、赤い耳の理由に気がつき、咄嗟に蓋を閉める。

「大佐?」

 どうか?と不思議そうな男のこめかみを中指で強く押す。関節キスくらいで嬉しそうにするな、と思いつつ口がぎゅうっと歪むのを整え切れない。

「ぁ、えと、…あは、は」

 察しの良い男だとつくづく思う。さっと目じりまで朱を滲ませ、頬をかり、とかいている。

「そのくらい直接してやる」

 小声で伝えた言葉に、ええっと大きい声で反応され、思わず彼の唇を掌でぎゅう、と抑え込む。
 ああ、もう。お前と言う男は。


◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
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