幸せの青いことり


 スープ系の料理のレパートリーはあいつ死ぬほど覚えてるんじゃないか、というくらいにはスープ生活が続いていた。もう固形物もとれるので、最近炒め料理っていうやつが増えてきた。まあ、そんな手は込んでいないらしい。炒めるだけだけど焦がす、としょんぼりしながら最初の方は焦げたものが付いていた料理だったが、ここ数日はコツをつかんだらしく黒焦げしたものが混入していないヤツになってきている。
 野菜炒め?と、肉炒め、と、そんな感じだ。肉よりは、野菜、が良いかもしれない。肉はちょっと、噛むのに疲れてしまって少なく作ってもらっても残してしまう。筋がどうとかいっていたので肉料理も幅が広いらしい。
 シンプルに味付けがされているのは、まあ、教本通りなんだろう。以前買ってた本にあったやつだと記憶してる。炒めるだけ、煮込むだけ、焼くだけ、シンプルイズベストみたいなやつだろう。ホライゾンも味覚に関しては自信がないようで、味見をしてもわからないので律儀に分量を守って作るしかないといっていたが下手にオリジナリティぶち込まれても俺だって味の良しあしはわからねえから困る。そのまま教本どおりやっといてくれという気持ちだ。
 野菜と果実に関しては、ここのコロニーは一個丸ごとつかって農作物を育てることが出来るエリアがあるらしくそこで様々な惑星の植物を育てている、と、きいた。端末機器で解説してくれるAIの女が言ってた。

「キツネイロって何色なの!!!!!」
「知るかよ」

 見開きにした本を抱えて飛び込んできたおっさんをあしらう、という事も増えたと思う。

「キツネとはそもそもなに!!??」
「木をつねるのか…?」
「木をつねった色って!?」
「知らねえよ」
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