幸せの青いことり
一日一食のペースは変わらないものの、やっと固形物を胃が受け付ける段階になった。間食も前よりするし、以前、ギゴウという男からもらったキャンディー…飴という奴が、なんともおいしかった。
指の爪を齧る癖があったが、これを食べている間はそれをしないことに目を付けたホライゾンが色々と買ってきてくれた。棒が付いているやつだと飴がなくなっても棒をずっと齧っていられるので、今はそれにしてもらって落ち着いている。味は正直無味に近くてもいいが、ホライゾンは必ずいろいろな味が入った奴を買う。
好きな味があったら教えてね、と袋を手渡しながら必ず言われるために、袋に適当に手を突っ込んでつかんだ飴をみて、口に入れてから好きか、嫌いか、考えてみるようになった。今までぼんやりとしていた曖昧な、食事に関しての事がうっすらとだが明確な輪郭を見せるような気持ちだ。
勿論、味覚はあまりたいして進んでねえなという自己判断だ。苦いは苦い、甘いは甘い、辛いは辛いでくくられている。ホライゾンの蔵書類を漁って適当に読んだりしてるが、話によれば、甘いにもたくさん種類があるらしい。使ってる甘味料とか、あとは思い出で感じるものもあるとかいうがよくわからない。
グリーンの飴は確か、何だったか、元々のものも甘みの強い果実で、果肉?というやつが非常に柔らかいから輸送に向かない、採れたてを食べれるのは原産地くらいなもので、とかいうのを読んだ。大概は冷凍加工して運送されてるらしい。名前までは覚えるほど興味がない。
ちょっとこれは甘すぎる、かもしれない。なんというか喉がべたべたする気がする。不味くはないんだが、もう少し大人しい方が良い。比較、としてあげるなら、多分、キョクトで使う甘味料?を使った奴のが好きだ。甘いけど、控えめな甘さと言う奴で、他の味を殺さないタイプの、あれがいい。
だからといって今口に入れてるものを吐き出すのは買ってきたホライゾンに悪いし、あまり好き、な味ではないかもしれないから早めに処理してしまうのがいいかもしれない。ホライゾンからは、嫌なものもあったら申告するように言われているし、今度はこれが入っていない奴を頼もうと思う。