第1章、転生したら古の悪女と出会ったので古の夢女子として救済いたします。
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-- 合宿当日の朝、立海のメンバーたちは学校前に停まっている大型バスの周りに集まっていた。
(…いい天気、晴れて良かったなぁ)
「… うーーんっ」
(名前)は両腕を上げ、軽く自身の身体を伸ばした。
…9月に入り、1日目の本日。
今日から3週間、氷帝学園テニス部部長、跡部景吾さんが主催する夏の合同合宿に私達は参加する。
参加するのは、私たち立海を含めた4校。
氷帝と立海、そして青学、四天宝寺。
どこも先月まで共にしのぎを削りあった、テニスの強豪校である。
(…合同合宿、か)
-- 朝の空気は少しひんやりとしていて、太陽がバスの銀色の車体に柔らかく反射している。
部員たちの笑い声や、真田の「おいそこ、静かにせんか!」といういつもの一喝が、ソワソワとした皆の騒がしさを軽やかに破る。
「…よいしょっ」
(名前)はリュックを背負い、チェックリストを手に、メンバーたちを見渡した。
コートの喧騒とはまた違う、合宿独特のわくわくとした空気が漂っている。
姫華は動きやすいカジュアルな服に身を包み、長い髪をポニーテールでまとめていた。
彼女の存在感は、朝の光の中でも一際鮮やかに見えた。
彼女は軽く微笑みながら、柳と何か話している様子だった。
だがその笑顔の裏に、やはり冷たい何かが潜んでいるような気がして、(名前)は無意識に視線を逸らすのであった。
バスに乗り込む順番になり、立海のメンバーが次々とステップを踏む。
赤也が「よっしゃ、合宿だぜ!」と拳を振り上げ、丸井がガムを噛みながら「跡部の合宿かぁ、豪華な飯が食えると期待」と笑う。
ジャッカル、仁王、柳生の3人は荷物を整理し、真田は最後尾で部員たちを監督するように見守っている。
(もう皆、乗ったかな?)
(名前)はチェックリストに目を落とし、全員が揃っていることを確認してから、最後にバスに乗り込む。
バスの中は、とても賑やかだった。
(名前)はきょろきょろと空いている席を探し、バスの丁度真ん中らへんの二人掛けの席を見つけた。
「ここでいいかな」と呟き、腰を下ろそうとしたその瞬間--
「(名前)、俺の隣」
穏やかだが、どこか有無を言わさぬような声が響いた。
(名前)が振り返ると、窓際の席に座る幸村が、柔らかな笑みを浮かべて彼女を見つめている。
彼の青い瞳は、朝の光を受けてまるで海のように澄んでいた。
「えっ、いいの?」
(名前)が少し慌てて言うと、幸村はくすっと笑い、隣の席を軽く叩いた。
「いいから、ほら」
その声に逆らえず、(名前)は少し照れながら幸村の隣に腰を下ろした。
バスのシートは柔らかく、窓から差し込む朝陽が彼女の頬を温かく撫でる。
…だがその瞬間、背筋にゾクッと冷たいものが走った。
視線を上げると、バスの中から柳の隣に座る姫華の目が、一瞬だけ鋭く、こちらを射抜いていた。
その瞳は、まるで獲物を値踏みするような冷たさを帯びているようだった。
(…!)
(名前)の胸が、ドキリと高鳴った。
マネージャールームでのやりとりが、まるで昨日のことのように鮮明に脳裏に蘇る。
あの静かな部屋で、姫華が放った言葉。
--「貴方、この部活辞めてくれないかしら」
結局、あの後何も言えずに立ち尽くす私に、彼女は半ば捨て台詞のようなもの「…覚えてなさいよ」を吐き捨てあの場を立ち去った。
その高飛車な物言い、蜜のような香水の香り、そして「姫のパパ、偉い人だから…」という脅し台詞。
…まるで、夢小説で読んだ「古の悪女」そのもののようであった。
(…毒島さんがあの夢小説にでてくる古の悪女なのだとして、なら私は一体、どうすれば…?)
(名前)の頭の中で、記憶のパズルがぐるぐると回る。
あの物語では、悪女は主人公を追い詰め、ライバルとして立ちはだかる。
時には策略を巡らせ、時には周囲を巻き込んで、主人公の居場所を奪おうと画策するのだ。
…もし、彼女が本当にそんな存在ならば、これから私を待ち構えているのは、きっと--。
「(名前)? 大丈夫?」
幸村の声に、(名前)はハッと我に返った。
彼の瞳が、心配そうに(名前)に視線を合わせていた。
「あ、うん…ごめん」
(名前)は慌てて笑顔を作り、頭を振った。
だが、幸村は彼女のその微妙な表情を、見逃さなかった。
「…(名前)、さてはお前、昨日あまり寝ていないね」
「え!? あ、あはは、バレましたか…」
(名前)は照れ笑いを浮かべ、頬をかく。
そうだ。
彼の言う通り、昨夜姫華の言葉が頭を巡り、なかなか寝付けなかったのは本当の事だった。
合宿の準備もあったけど、それ以上に、彼女の不穏な言葉が心に引っかかっていた。
「そんなことだろうと思ったよ。全く…」
幸村は小さくため息をつき、その後ふっと笑みを深めた。
そしてその瞬間、ぐいっ、と(名前)の肩に彼の腕が回された。
「えっ?」
突然のことに、(名前)の声が裏返る。
幸村の腕は温かく、彼女の肩をしっかりと包み込む。
彼のジャージから、ほのかに石鹸の清潔な香りが漂い、(名前)の心臓がドキドキと跳ねた。
「合宿所につくまで、まだまだあるからね。
…少し仮眠を取った方がいい」
「あっ、ありがとう…。あの、でも」
「ん?」
(この体勢は…ちょっと…ううん…恥ずかしい、といいますか…)
(名前)の頬が、じんわりと熱くなる。
幸村の肩に寄りかかるなんて、まるで恋人同士のようで、彼女の心が落ち着かなかった。
バスの中のざわめきも、どこか遠くに感じられる。
「…俺の肩じゃ不満?」
幸村が少し意地悪そうに、しかし柔らかく笑いながら言う。
「い、いえ決して!」
(名前)が慌てて手を振ると、幸村は「ふふっ、じゃあ問題ないね」と満足げに頷いた。
そのまま、彼の腕に軽く引き寄せられ、(名前)は彼の肩に頭を預ける形になった。
幸村のジャージの生地は柔らかく、ほのかな温もりが彼女を包む。
「さあ、目を瞑って。…着いたらちゃんと起こしてあげる」
「…うん、ありがとう」
(名前)は小さく頷き、言われるがままに目を閉じた。
バスのエンジンの振動と、幸村の穏やかな呼吸が、彼女をゆっくりと眠りの世界へと誘う。
…この時、ほんの一瞬
姫華の鋭い視線も、神様の言葉も、そして悪女の影も、少しだけ脳裏から、遠ざかっていった。
--「…(名前)、起きて」
耳へ届くその穏やかな声に、(名前)はゆっくりと目を開けた。
バスは合宿所に到着したようで、窓の外には広々とした敷地と、緑に囲まれた豪華な建物が見えた。
「…ん?」
「おはよう。ふふ、よく寝てたね」
幸村が微笑み、(名前)を覗き込む。
「…おはよう。ごめんね、肩痛くなかった?」
(名前)は少し恥ずかしそうに身を起こし、幸村の肩を気にするように見つめた。
「全然平気。
満足してもらえたようで良かったです、眠り姫」
「…ううっ」
幸村の軽いからかいに、(名前)は頬を赤らめ、思わず目を逸らした。
バスの中はすでに静かで、周りを見渡すと部員たちは次々と乗車口から降りていく。
赤也の「うおー、すっげえ!」という声や、丸井の「とっとと飯だ! 飯!」という叫び声、そしてそれを「こらこら二人とも、気が早いですよ」といなす柳生の声が遠くから聞こえてくる。
(名前)と幸村だけが、バスの中にぽつんと残されていた。
「さ、俺達も行こう」
「…うん」
幸村が立ち上がり、(名前)の手を軽く引いてバスから降りる。
そしてバスを降り、(名前)が数歩ステップを踏むと、目の前に広がるのは白亜の豪華な扉だった。
キィッと重厚な音を立てながら、扉がゆっくりと開く。
そしてその向こうから、一つの声が響いてきた。
--「…よお、遅かったじゃねーの」
(…いい天気、晴れて良かったなぁ)
「… うーーんっ」
(名前)は両腕を上げ、軽く自身の身体を伸ばした。
…9月に入り、1日目の本日。
今日から3週間、氷帝学園テニス部部長、跡部景吾さんが主催する夏の合同合宿に私達は参加する。
参加するのは、私たち立海を含めた4校。
氷帝と立海、そして青学、四天宝寺。
どこも先月まで共にしのぎを削りあった、テニスの強豪校である。
(…合同合宿、か)
-- 朝の空気は少しひんやりとしていて、太陽がバスの銀色の車体に柔らかく反射している。
部員たちの笑い声や、真田の「おいそこ、静かにせんか!」といういつもの一喝が、ソワソワとした皆の騒がしさを軽やかに破る。
「…よいしょっ」
(名前)はリュックを背負い、チェックリストを手に、メンバーたちを見渡した。
コートの喧騒とはまた違う、合宿独特のわくわくとした空気が漂っている。
姫華は動きやすいカジュアルな服に身を包み、長い髪をポニーテールでまとめていた。
彼女の存在感は、朝の光の中でも一際鮮やかに見えた。
彼女は軽く微笑みながら、柳と何か話している様子だった。
だがその笑顔の裏に、やはり冷たい何かが潜んでいるような気がして、(名前)は無意識に視線を逸らすのであった。
バスに乗り込む順番になり、立海のメンバーが次々とステップを踏む。
赤也が「よっしゃ、合宿だぜ!」と拳を振り上げ、丸井がガムを噛みながら「跡部の合宿かぁ、豪華な飯が食えると期待」と笑う。
ジャッカル、仁王、柳生の3人は荷物を整理し、真田は最後尾で部員たちを監督するように見守っている。
(もう皆、乗ったかな?)
(名前)はチェックリストに目を落とし、全員が揃っていることを確認してから、最後にバスに乗り込む。
バスの中は、とても賑やかだった。
(名前)はきょろきょろと空いている席を探し、バスの丁度真ん中らへんの二人掛けの席を見つけた。
「ここでいいかな」と呟き、腰を下ろそうとしたその瞬間--
「(名前)、俺の隣」
穏やかだが、どこか有無を言わさぬような声が響いた。
(名前)が振り返ると、窓際の席に座る幸村が、柔らかな笑みを浮かべて彼女を見つめている。
彼の青い瞳は、朝の光を受けてまるで海のように澄んでいた。
「えっ、いいの?」
(名前)が少し慌てて言うと、幸村はくすっと笑い、隣の席を軽く叩いた。
「いいから、ほら」
その声に逆らえず、(名前)は少し照れながら幸村の隣に腰を下ろした。
バスのシートは柔らかく、窓から差し込む朝陽が彼女の頬を温かく撫でる。
…だがその瞬間、背筋にゾクッと冷たいものが走った。
視線を上げると、バスの中から柳の隣に座る姫華の目が、一瞬だけ鋭く、こちらを射抜いていた。
その瞳は、まるで獲物を値踏みするような冷たさを帯びているようだった。
(…!)
(名前)の胸が、ドキリと高鳴った。
マネージャールームでのやりとりが、まるで昨日のことのように鮮明に脳裏に蘇る。
あの静かな部屋で、姫華が放った言葉。
--「貴方、この部活辞めてくれないかしら」
結局、あの後何も言えずに立ち尽くす私に、彼女は半ば捨て台詞のようなもの「…覚えてなさいよ」を吐き捨てあの場を立ち去った。
その高飛車な物言い、蜜のような香水の香り、そして「姫のパパ、偉い人だから…」という脅し台詞。
…まるで、夢小説で読んだ「古の悪女」そのもののようであった。
(…毒島さんがあの夢小説にでてくる古の悪女なのだとして、なら私は一体、どうすれば…?)
(名前)の頭の中で、記憶のパズルがぐるぐると回る。
あの物語では、悪女は主人公を追い詰め、ライバルとして立ちはだかる。
時には策略を巡らせ、時には周囲を巻き込んで、主人公の居場所を奪おうと画策するのだ。
…もし、彼女が本当にそんな存在ならば、これから私を待ち構えているのは、きっと--。
「(名前)? 大丈夫?」
幸村の声に、(名前)はハッと我に返った。
彼の瞳が、心配そうに(名前)に視線を合わせていた。
「あ、うん…ごめん」
(名前)は慌てて笑顔を作り、頭を振った。
だが、幸村は彼女のその微妙な表情を、見逃さなかった。
「…(名前)、さてはお前、昨日あまり寝ていないね」
「え!? あ、あはは、バレましたか…」
(名前)は照れ笑いを浮かべ、頬をかく。
そうだ。
彼の言う通り、昨夜姫華の言葉が頭を巡り、なかなか寝付けなかったのは本当の事だった。
合宿の準備もあったけど、それ以上に、彼女の不穏な言葉が心に引っかかっていた。
「そんなことだろうと思ったよ。全く…」
幸村は小さくため息をつき、その後ふっと笑みを深めた。
そしてその瞬間、ぐいっ、と(名前)の肩に彼の腕が回された。
「えっ?」
突然のことに、(名前)の声が裏返る。
幸村の腕は温かく、彼女の肩をしっかりと包み込む。
彼のジャージから、ほのかに石鹸の清潔な香りが漂い、(名前)の心臓がドキドキと跳ねた。
「合宿所につくまで、まだまだあるからね。
…少し仮眠を取った方がいい」
「あっ、ありがとう…。あの、でも」
「ん?」
(この体勢は…ちょっと…ううん…恥ずかしい、といいますか…)
(名前)の頬が、じんわりと熱くなる。
幸村の肩に寄りかかるなんて、まるで恋人同士のようで、彼女の心が落ち着かなかった。
バスの中のざわめきも、どこか遠くに感じられる。
「…俺の肩じゃ不満?」
幸村が少し意地悪そうに、しかし柔らかく笑いながら言う。
「い、いえ決して!」
(名前)が慌てて手を振ると、幸村は「ふふっ、じゃあ問題ないね」と満足げに頷いた。
そのまま、彼の腕に軽く引き寄せられ、(名前)は彼の肩に頭を預ける形になった。
幸村のジャージの生地は柔らかく、ほのかな温もりが彼女を包む。
「さあ、目を瞑って。…着いたらちゃんと起こしてあげる」
「…うん、ありがとう」
(名前)は小さく頷き、言われるがままに目を閉じた。
バスのエンジンの振動と、幸村の穏やかな呼吸が、彼女をゆっくりと眠りの世界へと誘う。
…この時、ほんの一瞬
姫華の鋭い視線も、神様の言葉も、そして悪女の影も、少しだけ脳裏から、遠ざかっていった。
--「…(名前)、起きて」
耳へ届くその穏やかな声に、(名前)はゆっくりと目を開けた。
バスは合宿所に到着したようで、窓の外には広々とした敷地と、緑に囲まれた豪華な建物が見えた。
「…ん?」
「おはよう。ふふ、よく寝てたね」
幸村が微笑み、(名前)を覗き込む。
「…おはよう。ごめんね、肩痛くなかった?」
(名前)は少し恥ずかしそうに身を起こし、幸村の肩を気にするように見つめた。
「全然平気。
満足してもらえたようで良かったです、眠り姫」
「…ううっ」
幸村の軽いからかいに、(名前)は頬を赤らめ、思わず目を逸らした。
バスの中はすでに静かで、周りを見渡すと部員たちは次々と乗車口から降りていく。
赤也の「うおー、すっげえ!」という声や、丸井の「とっとと飯だ! 飯!」という叫び声、そしてそれを「こらこら二人とも、気が早いですよ」といなす柳生の声が遠くから聞こえてくる。
(名前)と幸村だけが、バスの中にぽつんと残されていた。
「さ、俺達も行こう」
「…うん」
幸村が立ち上がり、(名前)の手を軽く引いてバスから降りる。
そしてバスを降り、(名前)が数歩ステップを踏むと、目の前に広がるのは白亜の豪華な扉だった。
キィッと重厚な音を立てながら、扉がゆっくりと開く。
そしてその向こうから、一つの声が響いてきた。
--「…よお、遅かったじゃねーの」