第1章、転生したら古の悪女と出会ったので古の夢女子として救済いたします。
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中央コートに向かう道すがら、(名前)は赤也とジャッカルの2人に支えられ、歩いていた。
段々と近づくラケットの乾いた音が、いつもの立海の活気を運んでくる。
-- コートの中央では、部員たちの掛け声やラケットがボールを弾く軽快なリズムが響き渡っていた。
風がそよぐたびにネットが小さく揺れ、どこか遠くでカモメの鳴き声が聞こえる。
これは至って、いつもの日常。
立海のテニスコートは、いつだって勝利への情熱と仲間たちの絆で脈を打っているのだ。
-- だが、今日のその脈動は、いつもより少し不規則で、ざわめきに満ちていた。
どこかいつもとは違う騒々しい部員達の声が混じっていることに、3人も段々と気づき始める。
「…なんか、騒がしいな」
ジャッカルが眉をひそめ、コートの中央を見やった。
(名前)も赤也と共に「ん?」と首を傾げる。
三人は自然と足を速め、その騒ぎの中心--丸井がいる方向へと向かった。
--「部長の彼女か?」
--「うわ、スタイル良!…さすがだなぁ幸村部長」
ざわざわと騒々しい部員達の話し声が、(名前)の耳へ届き始める。
どうやら彼らは、幸村くんの事と誰かの事を話しているみたいだった。
「ブン太! 何があったんだ?」
ジャッカルの声に、丸井がガムを噛みながら振り返る。
彼は少し困った様子で、苦笑い気味にコートの中央を指でさした。
「あー…あれだよ。ほら」
彼が指すその視線の先に、(名前)の目が吸い寄せられていく。
その先の光景に、思わず(名前)は目を見開いた。
「…!」
そこには、先ほど丸井と一緒にいたはずの毒島姫華がいた。
彼女は幸村の腕に自分の腕を絡ませ、まるで恋する乙女のようにはしゃいでいる。
カールがかった髪が揺れ、彼女が揺れ動く度に、制服のスカートが軽やかに翻る。
彼女の笑顔は、まるでコートに咲いた一輪の花のようであった。
(…ああ、なるほど。
通りで皆、ソワソワしているわけね…)
(名前)はうんうんと頷き、その後視線を再び2人の方へと戻す。
…姫華の指先は幸村の腕に触れるたび、まるで彼の反応を試すように小さく動いている。
そして、にこりと彼へ笑いかける彼女の笑顔は無邪気で可愛らしい。
だがしかし、やはりどこか計算されたような笑みであるのを、(名前)は見逃さなかった。
--「姫、ずぅっと幸村くんにお会いしたかったの! ふふっ、嬉しいわ!」
そう言って瞳を踊らせる姫華の声は、砂糖菓子のように甘く、弾むように響いている。
彼女の胸が幸村の腕に軽く押し付けられ、その距離の近さに(名前)は思わず目を瞬かせた。
「…ありがとう。でもそろそろ、腕を離してくれたら助かるな」
幸村はいつもの穏やかな笑みを浮かべたまま、柔らかく、しかしどこか困ったように言う。
…彼の瞳には、薄らと戸惑いの色が浮かんでいる。
だが姫華は一向に離す気配を見せず、むしろ体を寄せ始めていた。
「どうして? 姫、もっと幸村くんとお話したいの…」
「…」
上目遣いで首を傾げ、幸村の腕を自身の身体へぴったりと密着させる姫華。
これはまるで、恋人へ甘えるような仕草だ。
(…ううん、これは…。
なんだか見てはいけないものを見てしまった気が…)
(名前)は思わず、その光景からスっと視線を逸らしてしまう。
嫌だとか、そういう話では決してなく。
…単純に、刺激が強かったのである。
2人のそのやり取りはまるで恋人同士の蜜事のように甘く、前世でも今世でも男女関係とは縁遠い自分には、少し刺激が強く感じられたのだ。
「…」
…そして何故か、その2人の光景に、心がチクッと痛む気がした。
幸村の穏やかな笑顔と、姫華の華やかな存在感がすごくよく似合っている気がして。
(名前)の胸に、それは小さな波紋を広げていく。
「…っ」
ふと、幸村との過去の出来事が、頭を過った。
…あの時も、彼の笑顔はこんな風に穏やかで、なのにどこか人を引き込む不思議な力があった。
-- 練習後の帰り道、2人でコンビニへ寄り道をした。そして、「俺、必ず立海を3連覇に導いてみせるよ」と夜空の元で輝いていた彼の笑顔。
…私に、笑いかけてきてくれた。あの瞬間。
なぜかその記憶が、今、胸の奥で小さく疼く。
(…なんで、今思い出したんだろう。
っし、しっかりしろ私。今はそんな事考えてる場合じゃないでしょ…!)
(名前)は首を振って、その考えを振り払おうとする。
…だが、幸村の微笑みが姫華に向けられているのを見ると、なぜかその記憶が余計に、
鮮明に、浮かんでくるのだった。
--「…おいなんだ、あれ」
ジャッカルが顔を引き攣らせ、ぽつりと呟いた。
「いやぁ…俺も分かんねぇけど。
いいよなぁ幸村くん。あんな可愛い子にさぁ…」
丸井はガムを噛みながら、羨ましそうにその光景を眺めている。
「…おまけに、スタイルも申し分なしとは…。
なあ、ジャッカル。お前もそう思うだろぃ?」
彼は至って真面目な顔で続け、2人に視線を投げ続けている。
「…はぁ、ブン太お前な…」
ジャッカルが呆れて丸井をたしなめるように呟く。…が、当の彼は意に介さずといった様子で、肩を竦めるのだった。
--「…」
(…確かに、スタイルいいなぁ毒島さん…。
…と、特に、その、お胸の当たりとか…。)
ひっそりとそう心の中で呟くと、(名前)は自分の胸元を見下ろす。
「…」
(…よし、見なかったことにしよう。)
着用している体操着のシンプルな白い生地には、姫華とは違う、まだ薄い自身の胸元に心許なく広がっている。
…い、いやいや。
わ、私だってまだ華の15歳ですからね…!
まだまだ成長期…だと信じたいです。うん。
なんだか急に虚しい感情が(名前)を襲い、彼女はただ、「はは…」と乾いた笑みを零すのだった。
「…だ、大丈夫っすよ!(名前)先輩!
ほら、去年はミスコンに選ばれたし!顔だけなら負け無しですって!」
赤也が慌てたように声を上げ、(名前)の両肩をバシッと叩く。
(名前)は思わず「うっ」と声を漏らしたが、赤也の真っ直ぐな目を見て、ふと自然に笑みが溢れた。
「いや赤也お前、顔だけってよ」
そりゃねぇだろぃ、とジトリとした目を丸井が赤也へ向け、ツッコミを入れた。
「あ…す、すんません俺!いやあの、違うんすよ!?こ、言葉のあやっていうか…」
「ふふ、いいんだよ赤也くん…ありがとう」
(名前)は小さく笑い、赤也の頭をよしよしと撫でた。
まるで小さな弟に接するように、彼女の手は赤也の黒髪を優しくかき混ぜる。
赤也は少し照れくさそうに、でもどこか嬉しそうに「…へへっ」と笑った。
だがその時。
「…!?」
(名前)の背筋に、ゾクリと冷たいものが走る。
「…ひっ!?
…な、なんか殺気がするんすけど…!」
赤也が急に身を縮こませ、キョロキョロと周りを見回し始める。
(名前)もハッとして、視線を彷徨わせた。
…すると。
--「…いい度胸だね、赤也」
その殺気(?)の正体は、なんと幸村であった。
彼の方向から鋭い視線がジリジリ突き刺さるように飛んでいるのを、(名前)は気づいてしまう。
「…ゆ、幸村くん?」
「え?幸村部長?」
(名前)の困惑する声に、赤也も思わず後ろを振り返ろうとする。
だがその時、彼らの横から人影が降りてきた。
--「…可哀想に、気づいてしまったか。
赤也、今振り向いたら、今日がお前の命日ぜよ」
「…に、仁王くん!?
っ、それに柳生くんまで…いつの間に?」
(名前)が驚いて横に振り返ると、そこにはいつの間にか仁王と柳生が立っていた。
「よっ、(名前)」
仁王がニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべ、柳生はジェントルマンらしく、彼の隣で優雅に微笑んでいる。
…ちなみに赤也はというと、仁王の脅し台詞に「ヒィッ!」と小さく悲鳴を上げ、(名前)の後ろに隠れるように身を縮こませていた。
「お疲れ様です、(名前)さん。」
柳生が穏やかに挨拶し、(名前)へ軽く会釈をする。
…その仕草はとても落ち着いていて、まるでこの場の喧騒を一瞬だけ静めるようだった。
「お、お疲れ様…。もう、びっくりしたよ」
「なんじゃあ(名前)、気づかんかったんか?ずっとおったぜよ」
因みにこいつらは気づいてた。と仁王はニヤリとしながら、ジャッカルと丸井の2人を指さす。
「おう、最初から気づいてたぜ。…ジャッカルが!」
「俺かよ!」
彼らのやり取りに(名前)は目を丸くし、思わず「ええ…?」と呟いた。
--「赤也、せめて安らかに眠るんじゃ…」
「ヒィッ! や、柳生先輩助けて!」
再び再開された仁王のイタズラに、赤也が慌てて柳生の方へと飛び退く。
柳生は冷静にメガネを押し上げ、静かに首を振った。
「こら仁王くん。もうその辺にしておきなさい」
「…プリッ」
仁王がわざとらしく舌を出し、肩をすくめる。
その軽快なやりとりに、(名前)は思わず小さく笑みを零した。
「…ふ、ふふっ」
立海の仲間達のこんな掛け合いは、いつだって彼女の心を、軽くしてくれるのだ。
…だがその笑顔の裏で、(名前)の胸にはまだ小さな波紋が広がっていた。
先程の姫華と幸村の光景が、頭の片隅でチラチラと揺れている。
…なんで、こんな気持ちになるんだろう?
彼女は無意識に手を握り、周りの風景へと目をやった。
…その時、コートの空気が瞬時に切り替わる。
--「…なんだ、騒がしいな」
段々と近づくラケットの乾いた音が、いつもの立海の活気を運んでくる。
-- コートの中央では、部員たちの掛け声やラケットがボールを弾く軽快なリズムが響き渡っていた。
風がそよぐたびにネットが小さく揺れ、どこか遠くでカモメの鳴き声が聞こえる。
これは至って、いつもの日常。
立海のテニスコートは、いつだって勝利への情熱と仲間たちの絆で脈を打っているのだ。
-- だが、今日のその脈動は、いつもより少し不規則で、ざわめきに満ちていた。
どこかいつもとは違う騒々しい部員達の声が混じっていることに、3人も段々と気づき始める。
「…なんか、騒がしいな」
ジャッカルが眉をひそめ、コートの中央を見やった。
(名前)も赤也と共に「ん?」と首を傾げる。
三人は自然と足を速め、その騒ぎの中心--丸井がいる方向へと向かった。
--「部長の彼女か?」
--「うわ、スタイル良!…さすがだなぁ幸村部長」
ざわざわと騒々しい部員達の話し声が、(名前)の耳へ届き始める。
どうやら彼らは、幸村くんの事と誰かの事を話しているみたいだった。
「ブン太! 何があったんだ?」
ジャッカルの声に、丸井がガムを噛みながら振り返る。
彼は少し困った様子で、苦笑い気味にコートの中央を指でさした。
「あー…あれだよ。ほら」
彼が指すその視線の先に、(名前)の目が吸い寄せられていく。
その先の光景に、思わず(名前)は目を見開いた。
「…!」
そこには、先ほど丸井と一緒にいたはずの毒島姫華がいた。
彼女は幸村の腕に自分の腕を絡ませ、まるで恋する乙女のようにはしゃいでいる。
カールがかった髪が揺れ、彼女が揺れ動く度に、制服のスカートが軽やかに翻る。
彼女の笑顔は、まるでコートに咲いた一輪の花のようであった。
(…ああ、なるほど。
通りで皆、ソワソワしているわけね…)
(名前)はうんうんと頷き、その後視線を再び2人の方へと戻す。
…姫華の指先は幸村の腕に触れるたび、まるで彼の反応を試すように小さく動いている。
そして、にこりと彼へ笑いかける彼女の笑顔は無邪気で可愛らしい。
だがしかし、やはりどこか計算されたような笑みであるのを、(名前)は見逃さなかった。
--「姫、ずぅっと幸村くんにお会いしたかったの! ふふっ、嬉しいわ!」
そう言って瞳を踊らせる姫華の声は、砂糖菓子のように甘く、弾むように響いている。
彼女の胸が幸村の腕に軽く押し付けられ、その距離の近さに(名前)は思わず目を瞬かせた。
「…ありがとう。でもそろそろ、腕を離してくれたら助かるな」
幸村はいつもの穏やかな笑みを浮かべたまま、柔らかく、しかしどこか困ったように言う。
…彼の瞳には、薄らと戸惑いの色が浮かんでいる。
だが姫華は一向に離す気配を見せず、むしろ体を寄せ始めていた。
「どうして? 姫、もっと幸村くんとお話したいの…」
「…」
上目遣いで首を傾げ、幸村の腕を自身の身体へぴったりと密着させる姫華。
これはまるで、恋人へ甘えるような仕草だ。
(…ううん、これは…。
なんだか見てはいけないものを見てしまった気が…)
(名前)は思わず、その光景からスっと視線を逸らしてしまう。
嫌だとか、そういう話では決してなく。
…単純に、刺激が強かったのである。
2人のそのやり取りはまるで恋人同士の蜜事のように甘く、前世でも今世でも男女関係とは縁遠い自分には、少し刺激が強く感じられたのだ。
「…」
…そして何故か、その2人の光景に、心がチクッと痛む気がした。
幸村の穏やかな笑顔と、姫華の華やかな存在感がすごくよく似合っている気がして。
(名前)の胸に、それは小さな波紋を広げていく。
「…っ」
ふと、幸村との過去の出来事が、頭を過った。
…あの時も、彼の笑顔はこんな風に穏やかで、なのにどこか人を引き込む不思議な力があった。
-- 練習後の帰り道、2人でコンビニへ寄り道をした。そして、「俺、必ず立海を3連覇に導いてみせるよ」と夜空の元で輝いていた彼の笑顔。
…私に、笑いかけてきてくれた。あの瞬間。
なぜかその記憶が、今、胸の奥で小さく疼く。
(…なんで、今思い出したんだろう。
っし、しっかりしろ私。今はそんな事考えてる場合じゃないでしょ…!)
(名前)は首を振って、その考えを振り払おうとする。
…だが、幸村の微笑みが姫華に向けられているのを見ると、なぜかその記憶が余計に、
鮮明に、浮かんでくるのだった。
--「…おいなんだ、あれ」
ジャッカルが顔を引き攣らせ、ぽつりと呟いた。
「いやぁ…俺も分かんねぇけど。
いいよなぁ幸村くん。あんな可愛い子にさぁ…」
丸井はガムを噛みながら、羨ましそうにその光景を眺めている。
「…おまけに、スタイルも申し分なしとは…。
なあ、ジャッカル。お前もそう思うだろぃ?」
彼は至って真面目な顔で続け、2人に視線を投げ続けている。
「…はぁ、ブン太お前な…」
ジャッカルが呆れて丸井をたしなめるように呟く。…が、当の彼は意に介さずといった様子で、肩を竦めるのだった。
--「…」
(…確かに、スタイルいいなぁ毒島さん…。
…と、特に、その、お胸の当たりとか…。)
ひっそりとそう心の中で呟くと、(名前)は自分の胸元を見下ろす。
「…」
(…よし、見なかったことにしよう。)
着用している体操着のシンプルな白い生地には、姫華とは違う、まだ薄い自身の胸元に心許なく広がっている。
…い、いやいや。
わ、私だってまだ華の15歳ですからね…!
まだまだ成長期…だと信じたいです。うん。
なんだか急に虚しい感情が(名前)を襲い、彼女はただ、「はは…」と乾いた笑みを零すのだった。
「…だ、大丈夫っすよ!(名前)先輩!
ほら、去年はミスコンに選ばれたし!顔だけなら負け無しですって!」
赤也が慌てたように声を上げ、(名前)の両肩をバシッと叩く。
(名前)は思わず「うっ」と声を漏らしたが、赤也の真っ直ぐな目を見て、ふと自然に笑みが溢れた。
「いや赤也お前、顔だけってよ」
そりゃねぇだろぃ、とジトリとした目を丸井が赤也へ向け、ツッコミを入れた。
「あ…す、すんません俺!いやあの、違うんすよ!?こ、言葉のあやっていうか…」
「ふふ、いいんだよ赤也くん…ありがとう」
(名前)は小さく笑い、赤也の頭をよしよしと撫でた。
まるで小さな弟に接するように、彼女の手は赤也の黒髪を優しくかき混ぜる。
赤也は少し照れくさそうに、でもどこか嬉しそうに「…へへっ」と笑った。
だがその時。
「…!?」
(名前)の背筋に、ゾクリと冷たいものが走る。
「…ひっ!?
…な、なんか殺気がするんすけど…!」
赤也が急に身を縮こませ、キョロキョロと周りを見回し始める。
(名前)もハッとして、視線を彷徨わせた。
…すると。
--「…いい度胸だね、赤也」
その殺気(?)の正体は、なんと幸村であった。
彼の方向から鋭い視線がジリジリ突き刺さるように飛んでいるのを、(名前)は気づいてしまう。
「…ゆ、幸村くん?」
「え?幸村部長?」
(名前)の困惑する声に、赤也も思わず後ろを振り返ろうとする。
だがその時、彼らの横から人影が降りてきた。
--「…可哀想に、気づいてしまったか。
赤也、今振り向いたら、今日がお前の命日ぜよ」
「…に、仁王くん!?
っ、それに柳生くんまで…いつの間に?」
(名前)が驚いて横に振り返ると、そこにはいつの間にか仁王と柳生が立っていた。
「よっ、(名前)」
仁王がニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべ、柳生はジェントルマンらしく、彼の隣で優雅に微笑んでいる。
…ちなみに赤也はというと、仁王の脅し台詞に「ヒィッ!」と小さく悲鳴を上げ、(名前)の後ろに隠れるように身を縮こませていた。
「お疲れ様です、(名前)さん。」
柳生が穏やかに挨拶し、(名前)へ軽く会釈をする。
…その仕草はとても落ち着いていて、まるでこの場の喧騒を一瞬だけ静めるようだった。
「お、お疲れ様…。もう、びっくりしたよ」
「なんじゃあ(名前)、気づかんかったんか?ずっとおったぜよ」
因みにこいつらは気づいてた。と仁王はニヤリとしながら、ジャッカルと丸井の2人を指さす。
「おう、最初から気づいてたぜ。…ジャッカルが!」
「俺かよ!」
彼らのやり取りに(名前)は目を丸くし、思わず「ええ…?」と呟いた。
--「赤也、せめて安らかに眠るんじゃ…」
「ヒィッ! や、柳生先輩助けて!」
再び再開された仁王のイタズラに、赤也が慌てて柳生の方へと飛び退く。
柳生は冷静にメガネを押し上げ、静かに首を振った。
「こら仁王くん。もうその辺にしておきなさい」
「…プリッ」
仁王がわざとらしく舌を出し、肩をすくめる。
その軽快なやりとりに、(名前)は思わず小さく笑みを零した。
「…ふ、ふふっ」
立海の仲間達のこんな掛け合いは、いつだって彼女の心を、軽くしてくれるのだ。
…だがその笑顔の裏で、(名前)の胸にはまだ小さな波紋が広がっていた。
先程の姫華と幸村の光景が、頭の片隅でチラチラと揺れている。
…なんで、こんな気持ちになるんだろう?
彼女は無意識に手を握り、周りの風景へと目をやった。
…その時、コートの空気が瞬時に切り替わる。
--「…なんだ、騒がしいな」