声のする方へ振り向くと、ピンクのワンピースにレザージャケット、ツインテールというパンクファッションが一際目立つ女の子が立っていた。

「ごめんね、その子あたしの・・・」

どうやらモルペコは、この子のポケモンだったらしい。
主人に見つかったモルペコは、怒られると思ってしゅんとしてしまっている。

「この子食いしん坊で、すぐお腹空いちゃうみたいで・・・あ、お金、払うから・・・」

お財布をだそうとする女の子を、大丈夫だからと慌てて止める。
これも何かの縁だからと、なまえはよかったら一緒にとお茶に誘うと、彼女はその申し出が意外だったのか、一瞬驚いた表情を浮かべたものの、小さくありがと、と呟いた。
彼女はマリィと名乗った。

「あんたもジムチャレンジするの？」
『ジムチャレンジ？』

どうやらガラルでは、推薦状をもらったトレーナーはジムチャレンジに挑戦するらしい。
明日が開会式で、このホテルは出場者の宿泊施設となっているらしい。
どうりで空室がないわけだと理解した。
なまえは別の地方から来たこと、これからシンオウへ行く予定を話した。

「あんたのポケモン、強そうだし・・・ジムチャレンジだと思った」

彼女はこれから戦いの旅へと出るのだろう。
マリィは絶対にチャンピオンになるけん、と小さく呟いた。

『マリィちゃんならきっと大丈夫だよ。頑張って！』

「・・ありがと。あの、せっかくだし。よかったら、番号教えて」

連絡先を交換し、一緒に食事を食べ終えた時、レストランの大きなテレビモニターから、“速報”のテロップと特定の音楽が流れた。

“臨時ニュースをお伝えします”

“セキエイ高原のポケモンリーグ本部にて、爆発事故があった模様です。
ジョウト四天王４名、及びチャンピオンのワタル氏が負傷したとの情報が入っております。
事故の原因、四天王たちの負傷の状態など、詳しいことはまだわかっておりません。
現場にはキャスターが向かっております。詳しいことは後程お伝えいたします”

『え・・・』

それは、耳を疑うようなニュースだった。