ミモザの花が咲く頃に
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規則正しい揺れと共に窓から見える景色が、賑やかなビルの並びから鮮やかな緑色へと変わっていく。
“まもなくブラッシータウン駅に到着いたします”
ロンドロゼで一泊したなまえは、シュートシティから電車を乗り継ぎ、ブラッシータウンへと向かっていた。
昨日のローズとの食事の後、なまえとダンデとシュートシティを散策していたソニアの元に、なまえに会いたい、という連絡が、祖母のマグノリアから入った。
やがて目的地へと辿り着いた電車を降りて改札を出ると、迎えに来ていたソニアが手を振って出迎えてくれた。
他愛もない話をしながら、研究所までの道のりをのんびり歩く。
街から少し離れたところに建つ大きな研究所は、昔ふたりで遊んだ思い出の場所でもある。
まるで昨日のことのように思い出せるが、今やソニアはマグノリアの助手として調査に走り回る日々だ。
『お邪魔します』
懐かしさに浸りながら研究所の中へと入ると、マグノリアが待っていた。
「お呼び立てして申し訳ありません」
こちらにどうぞ、と案内されて入った部屋のテーブルには、ガラル地方ならではのお茶の用意がされていた。
高貴な香りが立ち上るティーポット。
サンドイッチやスコーン、クッキーなどがきれいに並べられた3段のティースタンド。
それはなまえの分だけではなく、バクフーンの分もきちんと用意してあり、ふたりへの最大限の歓迎の意を示していた。
どうぞ、と促され、ふかふかのソファーへと座る。
きれいに並べられた美味しそうなお菓子に、バクフーンはまるで子どものように目を輝かせる。
冷めないうちに召し上がって、と勧められた言葉に甘え、ひとまずはお茶をご馳走になることにした。
「イリヤ博士とレリア博士の件ですが・・・私もソニアもひどく驚いています。おふたりがご無事であることを祈るばかりです」
『ありがとうございます。国際警察の方や、ポケモンGメンの方が全面的に捜査してくださっているので・・・私は無事を信じて待つだけです』
強がりのように聞こえるかもしれないが、実際にはどうすることもできないのが事実だった。
もちろん心配や不安は尽きないが、今のなまえには吉報を信じて待つことしか出来ない。
「なまえさん、ローズ社長とお会いしたそうですね」
はい、となまえの返事を聞くと、マグノリアは一瞬だけ、しかし間違いなく表情を曇らせた。
「お話したいこととは、彼のことです」
テーブルに置かれたティーカップの中で、さざ波のように紅茶が揺れる。
マグノリアは一呼吸おいてから、ゆっくりと話し出した。
「・・・ひと月ほど前のことです」