「もう！ほんまに心配したんやから！！」


ホドモエシティ PWT会場　選手控え室

なまえの姿を見るなり、人目も気にせずに わーん！と大泣きして抱きついたアカネを筆頭に、静かに涙を浮かべるミカン、驚きと安堵の表情を浮かべたカミツレとフウロが、なまえの周りを囲んで彼女の無事を喜んだ。

「これで全員お揃いでしょうか」

続いて部屋へと入ってきたワタルが、全員の視線を集めた。

今回のワールドトーナメントは、イッシュジムリーダーとジョウトジムリーダーが参加していた。
アーティはもちろん、アロエも参加することが決定していた。

アーティが考えたのは、なまえを守るためにジムリーダーたちにも協力を要請するというものだった。
トーナメントの控え室は、参加する選手以外は一切立ち入ることができない。
一度に多くのジムリーダーが訪れ、なおかつ関係者以外は入れないこの場所は、まさに最上級に都合が良いと彼は考えたのだ。

アーティから連絡を受けたワタルも駆けつけ、控え室にはジムリーダー一同とワタル、そして特別に立ち入りを許されたなまえがいた。

お疲れのところ大変申し訳ない、と神妙な面持ちで切り出したワタルに、ざわついていた場は一気に静まり返った。

「既にニュースなどでご存知だと思いますが・・・
連日の報道の通り、イリヤ博士とレリア博士が行方不明となりました。
現在のところは調査中で、詳しいことは何もわかっておりません。
しかし昨日・・・こちらにいる娘さんのなまえが、シッポウシティにて狙われるという事件が起こりました。
今朝、国際警察と我々ポケモンGメンとの合同会議で、今回のこの一件は・・・重大な事件の可能性が高いと判断しました。
そこで皆さまのお力をお借りしたいと思い、お集まりいただいた次第です」

簡潔ながらも要点をしっかりまとめたワタルの言葉に、ジムリーダーたちはざわつき始める。

「事件って・・・事故ではないと確定したということ？」

イブキの問いに、ワタルは静かに頷いた。

「事故の可能性ももちろんあるが・・・それならばなまえが狙われる理由はないはずだ。となると・・・」

「・・・・！」

ワタルの言う通り、今回のふたりの件が事故だとしたら、なまえを狙う必要などないはず。
国際警察とGメンが、満場一致で重大事件と認定せざるを得ない状況となってしまった。

「まずは昨日起こったなまえの襲撃事件。こちらをアーティさんとアロエさん、ご説明願えますか」


話を振られたアーティとアロエは静かに頷き、昨日の一連の内容を話し始めた。