ミモザの花が咲く頃に
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聞き慣れた声が響いた瞬間、ダーテングとドレディアはたちまち眠りに落ち、ふらふらと倒れ込んだ。
「何の騒ぎだい?あまり穏やかじゃないようだけど」
そこには、駆け付けたアロエとミルホッグ、バクフーンがいた。
「お客様みたいだよ、ねえさん」
招かれざる客のようだけどね、としっかり付け加えたアーティの視線は冷たかった。
首元から紅い炎を揺らしてなまえの前に立ち、相手を睨みつけるバクフーンからは、激しい怒りの色が滲み出ていた。
アーティは現役のジムリーダー。
アロエも引退したとはいえ元ジムリーダー。
その強さは健在だ。
人数でもポケモンの数でも劣勢となり、しかも催眠術で2匹とも眠らされてしまった今、どう見ても勝ち目はない。
明らかに逆転した悪い状況に、負けを悟ったふたりは逃げようとしたが、アーティとアロエがそれを許すはずもない。
走り出したふたりの足に、アーティのフシデが吐いた糸が絡みつく。
糸が引っ掛かったふたりの足はもつれてバランスを崩し、見事なまでに派手に転んだ。
「ごめんなさい、全部話しますから!許してください!」
ついに観念したのか、最初に折れたのはインタビュアーを名乗っていた女だった。
「アルバイトで頼まれたんです・・・!」
泣きそうになっている女の話だと、ポケジョブに求人が出ていたらしい。
写真を撮るだけの簡単な仕事と書いてあり、その割には報酬が驚くほど高く、応募したらしい。
これです、と差し出した女のスマホの画面にはポケジョブの求人のやり取りが表示されていた。
「確かに。“これであなたもレポーター気分!各地で写真を撮ったり、インタビューするだけの簡単なお仕事です。交通費はすべて出します。バトルに自信ある方大歓迎”って書いてあるねえ」
彼らが受けたのは、ミアレ出版からのポケジョブの依頼だった。
観光用のガイドブックを作成するための写真撮影のアルバイトと言われ、急にイッシュへ行ってくれと言われたらしい。
「さっき連絡があって、その帽子を被ったお嬢ちゃんをポスターのモデルにしたいから、名前やら情報を聞き出して、写真を撮ってこいって言われただけだ」
「だったら何で攻撃する必要があるんだい」
不服そうな声色のカメラマンに、アロエがもっともな意見を返した。
写真だって遠目から隠し撮りでもすれば、わざわざ攻撃する必要はないはずだ。
「“しっかり顔が映った写真を撮れ”と言われたんです。高い報酬を払う分、失敗したらバイト代どころか、罰金をとるって言われて・・・」
話を聞く限りだと、このふたりが嘘を言っているようには思えない。
ポケジョブのやり取りを見ると、本当にアルバイトで頼まれただけなのだろう。
「とりあえず、そのカメラは預からせてもらうよ」
カメラマンはアーティの言葉に反抗することなく、素直にカメラを差し出した。
その後ふたりは連絡を受けたジュンサーに、警察へと連れていかれることとなった。
『アーティさん、アロエさん・・・ありがとうございました』
あの場でアーティが駆け付けてくれなかったら、どうなっていたことか。
無事で良かったよ、と笑ってくれたふたりに、心底安心感を覚えた。
『ハハコモリ、ミルホッグも・・・ありがとうね』
なまえがお礼を言うと、2匹も嬉しそうに鳴いた。
「なまえ・・・もしかしたら、思った以上に深刻な事態かもしれないね」
あまり不安を煽るつもりはないけど、と付け加えたアロエの言葉の意味と続きは、嫌でも想像がついた。
「なまえ、明日すぐ出発できるように荷物をまとめておいて。・・・僕に考えがある」
アーティのいつになく真剣な口ぶりに少し不安を感じたのは、この季節には似合わないはずの、冷たい風のせいだろうか。
「何の騒ぎだい?あまり穏やかじゃないようだけど」
そこには、駆け付けたアロエとミルホッグ、バクフーンがいた。
「お客様みたいだよ、ねえさん」
招かれざる客のようだけどね、としっかり付け加えたアーティの視線は冷たかった。
首元から紅い炎を揺らしてなまえの前に立ち、相手を睨みつけるバクフーンからは、激しい怒りの色が滲み出ていた。
アーティは現役のジムリーダー。
アロエも引退したとはいえ元ジムリーダー。
その強さは健在だ。
人数でもポケモンの数でも劣勢となり、しかも催眠術で2匹とも眠らされてしまった今、どう見ても勝ち目はない。
明らかに逆転した悪い状況に、負けを悟ったふたりは逃げようとしたが、アーティとアロエがそれを許すはずもない。
走り出したふたりの足に、アーティのフシデが吐いた糸が絡みつく。
糸が引っ掛かったふたりの足はもつれてバランスを崩し、見事なまでに派手に転んだ。
「ごめんなさい、全部話しますから!許してください!」
ついに観念したのか、最初に折れたのはインタビュアーを名乗っていた女だった。
「アルバイトで頼まれたんです・・・!」
泣きそうになっている女の話だと、ポケジョブに求人が出ていたらしい。
写真を撮るだけの簡単な仕事と書いてあり、その割には報酬が驚くほど高く、応募したらしい。
これです、と差し出した女のスマホの画面にはポケジョブの求人のやり取りが表示されていた。
「確かに。“これであなたもレポーター気分!各地で写真を撮ったり、インタビューするだけの簡単なお仕事です。交通費はすべて出します。バトルに自信ある方大歓迎”って書いてあるねえ」
彼らが受けたのは、ミアレ出版からのポケジョブの依頼だった。
観光用のガイドブックを作成するための写真撮影のアルバイトと言われ、急にイッシュへ行ってくれと言われたらしい。
「さっき連絡があって、その帽子を被ったお嬢ちゃんをポスターのモデルにしたいから、名前やら情報を聞き出して、写真を撮ってこいって言われただけだ」
「だったら何で攻撃する必要があるんだい」
不服そうな声色のカメラマンに、アロエがもっともな意見を返した。
写真だって遠目から隠し撮りでもすれば、わざわざ攻撃する必要はないはずだ。
「“しっかり顔が映った写真を撮れ”と言われたんです。高い報酬を払う分、失敗したらバイト代どころか、罰金をとるって言われて・・・」
話を聞く限りだと、このふたりが嘘を言っているようには思えない。
ポケジョブのやり取りを見ると、本当にアルバイトで頼まれただけなのだろう。
「とりあえず、そのカメラは預からせてもらうよ」
カメラマンはアーティの言葉に反抗することなく、素直にカメラを差し出した。
その後ふたりは連絡を受けたジュンサーに、警察へと連れていかれることとなった。
『アーティさん、アロエさん・・・ありがとうございました』
あの場でアーティが駆け付けてくれなかったら、どうなっていたことか。
無事で良かったよ、と笑ってくれたふたりに、心底安心感を覚えた。
『ハハコモリ、ミルホッグも・・・ありがとうね』
なまえがお礼を言うと、2匹も嬉しそうに鳴いた。
「なまえ・・・もしかしたら、思った以上に深刻な事態かもしれないね」
あまり不安を煽るつもりはないけど、と付け加えたアロエの言葉の意味と続きは、嫌でも想像がついた。
「なまえ、明日すぐ出発できるように荷物をまとめておいて。・・・僕に考えがある」
アーティのいつになく真剣な口ぶりに少し不安を感じたのは、この季節には似合わないはずの、冷たい風のせいだろうか。