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“どうして 私を助けたの”
それは、想定していなかった問いかけだった。
別に、礼を言われるために助けたわけではないのだが。
彼女の口からはあまり聞きたくなかった類の言葉であったことは事実だった。
この言葉が出てきたということは、
恐らく、彼女の真意はー
「・・・死ぬつもりだったのか」
ローの問いかけに、彼女は何も答えない。
否定も肯定もしないということは、恐らく正解なのだろう。
病に生きることを諦め、生き急いだ幼い頃の記憶が頭を掠める。
なぜ、彼女が死に急ぐ必要があるのか。
「そちらの事情は知らないが・・残念ながら、おれは医者だ」
そう言われて、なまえは初めてローが医者だと知った。
確かに、医者が倒れている人間を見捨てるなど道理に反する。
彼はただ ひとりの医者として助けただけであって、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
彼を責める権利はどこにもない。
どこまでも予想外の道を歩ませる自身の運命に、諦めのような、複雑な心境を覚えると、自然と小さな笑みがこぼれた。
『ならば、きちんとお伝えしなければなりませんね』
なまえの瞳がまっすぐにローの瞳を捉えたとき、彼の心はざわめいた。
それは意志の強い、眼だった。
少なくとも、死のうとしていた人間の眼ではない。
『助けてくれて ありがとうございました』
そう言って、ゆっくりと目を閉じた彼女の顔は、ひどく穏やかに見えた。
死なせるわけにはいかない、
そう 強く思った。
ひとりの医者として。
ただ、そう思っただけなのだ。
それは、想定していなかった問いかけだった。
別に、礼を言われるために助けたわけではないのだが。
彼女の口からはあまり聞きたくなかった類の言葉であったことは事実だった。
この言葉が出てきたということは、
恐らく、彼女の真意はー
「・・・死ぬつもりだったのか」
ローの問いかけに、彼女は何も答えない。
否定も肯定もしないということは、恐らく正解なのだろう。
病に生きることを諦め、生き急いだ幼い頃の記憶が頭を掠める。
なぜ、彼女が死に急ぐ必要があるのか。
「そちらの事情は知らないが・・残念ながら、おれは医者だ」
そう言われて、なまえは初めてローが医者だと知った。
確かに、医者が倒れている人間を見捨てるなど道理に反する。
彼はただ ひとりの医者として助けただけであって、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
彼を責める権利はどこにもない。
どこまでも予想外の道を歩ませる自身の運命に、諦めのような、複雑な心境を覚えると、自然と小さな笑みがこぼれた。
『ならば、きちんとお伝えしなければなりませんね』
なまえの瞳がまっすぐにローの瞳を捉えたとき、彼の心はざわめいた。
それは意志の強い、眼だった。
少なくとも、死のうとしていた人間の眼ではない。
『助けてくれて ありがとうございました』
そう言って、ゆっくりと目を閉じた彼女の顔は、ひどく穏やかに見えた。
死なせるわけにはいかない、
そう 強く思った。
ひとりの医者として。
ただ、そう思っただけなのだ。