178°
Your Name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それは、あまりに突然の出来事だった。
「さすが”七武海”を名乗っただけのことはある」
手応えはありそうだ、と凍り付くような冷徹な表情を浮かべている女の唇が、ほんの少しだけ緩やかに弧を描いた。
人影も見当たらない、自然豊かな静かな島の海岸線で、ひとりの女が、ローを筆頭としたハートの海賊団と対峙していた。
億越えの懸賞金が賭けられた、今やこの海を騒がせる存在が率いる海賊団に囲まれているというのに、女は焦る様子を一切見せなかった。
どう見ても明らかに不利な状況に置かれているはずの女が、異常なほど落ち着き払っているその姿は異様で、逆にローたちの心をざわつかせる。
深海のように深いダークブルーの長い髪が、風に静かに揺れていた。
何の用だ、と短く一言発したローに視線を向けた女は、わずかに目を細める。
「医者だというのに、今にも死にそうな顔をしているな・・・トラファルガー」
女の指摘は間違ってはいなかった。
眠ると広がるあの日の悪夢の光景。
眠れない日々は変わらず続き、ローの体力は間違いなく限界に近づいていた。
「苦しいか?」
「心配には及ばねェ。これぐらいでくたばる様じゃ・・・この海を越えるのは不可能だ」
女の問いかけに、ローは不敵な笑みを浮かべて答えた。
それがローの本心なのか、強がりなのか、意地なのかは誰にもわからない。
ローの返答になるほど、と短く答えた女は、表情こそ大きく変えないものの、どこか満足そうだった。
「無駄な駆け引きは好きではないので単刀直入に言わせてもらう。トラファルガー、・・・なまえを出せ」
「同じことを言って船に来た女が前にもいたが・・・お前の仲間か」
躊躇うこともなくベポを傷付けた女と、ローを悪夢で責め苛む原因を作った女。
ふたりの目的は同じ、なまえだった。
「部下が連れて帰ってくることを期待したが・・・情けないことに、どちらも手ぶらで帰ってきた。トラファルガー、悪いことは言わない。あの女は世界を滅ぼす力の持ち主だ。引き渡せ。世界の権力者の手に堕ちる前に・・・」
「断る」
「・・・・・」
短く、だが確かに、きっぱりと申し入れを即答で拒否したローに、女が言葉を返すことはなかった。
お互いに無言の時間が続く。
波の音だけが辺りに響く。
空には太陽が燦々と輝いているというのに、この異様なほどの静けさは、まるで朝を待つ夜明け前のようだった。
「さすが”七武海”を名乗っただけのことはある」
手応えはありそうだ、と凍り付くような冷徹な表情を浮かべている女の唇が、ほんの少しだけ緩やかに弧を描いた。
人影も見当たらない、自然豊かな静かな島の海岸線で、ひとりの女が、ローを筆頭としたハートの海賊団と対峙していた。
億越えの懸賞金が賭けられた、今やこの海を騒がせる存在が率いる海賊団に囲まれているというのに、女は焦る様子を一切見せなかった。
どう見ても明らかに不利な状況に置かれているはずの女が、異常なほど落ち着き払っているその姿は異様で、逆にローたちの心をざわつかせる。
深海のように深いダークブルーの長い髪が、風に静かに揺れていた。
何の用だ、と短く一言発したローに視線を向けた女は、わずかに目を細める。
「医者だというのに、今にも死にそうな顔をしているな・・・トラファルガー」
女の指摘は間違ってはいなかった。
眠ると広がるあの日の悪夢の光景。
眠れない日々は変わらず続き、ローの体力は間違いなく限界に近づいていた。
「苦しいか?」
「心配には及ばねェ。これぐらいでくたばる様じゃ・・・この海を越えるのは不可能だ」
女の問いかけに、ローは不敵な笑みを浮かべて答えた。
それがローの本心なのか、強がりなのか、意地なのかは誰にもわからない。
ローの返答になるほど、と短く答えた女は、表情こそ大きく変えないものの、どこか満足そうだった。
「無駄な駆け引きは好きではないので単刀直入に言わせてもらう。トラファルガー、・・・なまえを出せ」
「同じことを言って船に来た女が前にもいたが・・・お前の仲間か」
躊躇うこともなくベポを傷付けた女と、ローを悪夢で責め苛む原因を作った女。
ふたりの目的は同じ、なまえだった。
「部下が連れて帰ってくることを期待したが・・・情けないことに、どちらも手ぶらで帰ってきた。トラファルガー、悪いことは言わない。あの女は世界を滅ぼす力の持ち主だ。引き渡せ。世界の権力者の手に堕ちる前に・・・」
「断る」
「・・・・・」
短く、だが確かに、きっぱりと申し入れを即答で拒否したローに、女が言葉を返すことはなかった。
お互いに無言の時間が続く。
波の音だけが辺りに響く。
空には太陽が燦々と輝いているというのに、この異様なほどの静けさは、まるで朝を待つ夜明け前のようだった。