178°
Your Name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうなってんだ一体!!」
フランキーの苛立つ声がサニー号に響いた。
ウソップとナミが倒れてから、チョッパーは付きっきりで懸命な治療を行ったが、回復するどころか事態は悪化し、ふたりの身体に、不気味な水色の斑点のようなものが出てきたのだ。
今まで見たこともない症状に焦るチョッパーだったが、悲劇はそれだけに収まらなかった。
次はロビンが倒れ、その次にはサンジ、そしてついにゾロやルフィまでもが同じ症状を訴えはじめた。
そしてチョッパー自身も動けてはいるものの、少しずつ異変を感じていた。
どう考えても尋常じゃないこの状況下で、今のところ無事なのはフランキーとブルック、ジンベエだけという事態になってしまった。
チョッパーが動けなくなれば、それこそ大変なことになる。
看病の合間に時間を惜しんで医学書を読み漁っては原因を調べ、思い当たる可能性は見逃すことなく、少しでも似た症状に合わせた薬を調合して与えても、まったく効かないのだ。
伝染病だとすれば、三人が倒れるのも時間の問題となってしまう。
かつて、自分が身を置いていた海賊団が辿った悲劇を経験しているブルックは、“全滅”という名のタイムリミットが迫ってきていることを薄々感じ取っていた。
こればかりは策がなければ、抗うことができないものだということも。
症状が出てはいるものの、ルフィやゾロは他の仲間に比べれば、比較的体力の消耗は少なく、かろうじて動くことは出来た。
しかし万全ではない上に、いつどう変化するかはわからない。
何もわからないのにどんどん悪化していくこの状況に、焦りと苛立ち、不安だけが駆け巡る。
このタイミングで敵襲があれば、明らかに戦力は劣る。
こんな中で攻め込まれたら、最悪中の最悪でしかない。
本当の最悪の事態は、全滅だ。
それだけは何としても回避しなければならない。
とにかく原因を特定しなければ、と自分に言い聞かせ、冷静を保とうとしたブルックの耳に、チリン、と海の上ではあまり聞き慣れない、軽い鈴の音が聞こえた。
何事かと音のした方を見ると、自転車が見えた。
海の上を、自転車が走っている。
そして、こちらに近づいてくるではないか。
「えええええ!?自転車!?しかも誰か乗ってる!?」
「何だと!?」
ブルックの叫び声に、いち早く反応して刀を構えたのはゾロだった。
海上で自転車。
そのキーワードで思い当たるのはひとりしかいない。
重い警戒の色を見せるサニー号とは正反対に、チリンチリン、と軽やかなベルの音が、海に響いた。