178°
Your Name?
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ベポから知らせを聞き、ローは部屋へと駆け込んだ。
派手な音を立てたドアの先。
横たわる彼女と目があったとき、
一瞬、思考が停止した。
生きている。
彼女の瞳は、しっかりとローを見つめていた。
「なまえ・・だな?」
確かめるような問いかけに、なまえは小さく頷いた。
「・・おれが、分かるか」
『あなたは・・・・』
初対面ではない。
彼のことを、自分は間違いなく知っている。
刺青だらけの細身の身体。
まるでアイラインを引いているかのような濃い目の下の隈。
どこか可愛らしい、もこもこの帽子。
記憶にある、覚えている。
確か、彼の名は―
“おれは トラファルガー・ロー”
霧がかかったような記憶から呼び起こされた、その名前。
『ロー、さん・・?』
「・・!!」
呼ばれた名前に、心が震えた。
覚えていてくれたのか。
言葉が見つからないとは、こういうことを言うのだろう。
分かるかどうか訊ねたのは自分なのに、何も答えを返せないというのも、おかしな話だが。
あぁ、とぶっきらぼうな返事を返すのが、今のローには精一杯だった。
忘れているだろうと思っていた反面、
覚えていてほしい、心の中でそう思っていたのも事実だった。
長い旅路の途中にたった一度だけ、出会った女。
ただ、それだけのはずなのに。
彼女はローの記憶から消えることも、薄れることも許しはしなかった。
なまえはベッドから起き上がろうとしたが、身体は言うことを聞いてはくれなかった。
再び激しく咳き込んだ彼女の背中を、ベポが慌てて擦る。
「打撲、骨折、重度の肺炎。しばらくは絶対安静だ」
彼女の状態は、ひどかった。
あばら骨と右足を骨折。
海水を大量に飲んでいて、重度の肺炎を引き起こしていた。
そのため、しばらくは熱も下がらず、話すどころか呼吸することですら痛みを伴う状態。
見つけたのが後少し遅かったら、間違いなく助からなかっただろう。
生きているのが奇跡的と言っても間違いではない。
ただ運が良かったとしか、言いようがなかった。
「しばらくは苦しいだろうが、薬が効けば数日で治る。それまで大人しく休んでおけ」
『どうして・・・』
ローにはまだ、分からなかったのだ。
彼女が悲しげに告げた言葉に隠された、本当の意味を。
“どうして、私を助けたの”
派手な音を立てたドアの先。
横たわる彼女と目があったとき、
一瞬、思考が停止した。
生きている。
彼女の瞳は、しっかりとローを見つめていた。
「なまえ・・だな?」
確かめるような問いかけに、なまえは小さく頷いた。
「・・おれが、分かるか」
『あなたは・・・・』
初対面ではない。
彼のことを、自分は間違いなく知っている。
刺青だらけの細身の身体。
まるでアイラインを引いているかのような濃い目の下の隈。
どこか可愛らしい、もこもこの帽子。
記憶にある、覚えている。
確か、彼の名は―
“おれは トラファルガー・ロー”
霧がかかったような記憶から呼び起こされた、その名前。
『ロー、さん・・?』
「・・!!」
呼ばれた名前に、心が震えた。
覚えていてくれたのか。
言葉が見つからないとは、こういうことを言うのだろう。
分かるかどうか訊ねたのは自分なのに、何も答えを返せないというのも、おかしな話だが。
あぁ、とぶっきらぼうな返事を返すのが、今のローには精一杯だった。
忘れているだろうと思っていた反面、
覚えていてほしい、心の中でそう思っていたのも事実だった。
長い旅路の途中にたった一度だけ、出会った女。
ただ、それだけのはずなのに。
彼女はローの記憶から消えることも、薄れることも許しはしなかった。
なまえはベッドから起き上がろうとしたが、身体は言うことを聞いてはくれなかった。
再び激しく咳き込んだ彼女の背中を、ベポが慌てて擦る。
「打撲、骨折、重度の肺炎。しばらくは絶対安静だ」
彼女の状態は、ひどかった。
あばら骨と右足を骨折。
海水を大量に飲んでいて、重度の肺炎を引き起こしていた。
そのため、しばらくは熱も下がらず、話すどころか呼吸することですら痛みを伴う状態。
見つけたのが後少し遅かったら、間違いなく助からなかっただろう。
生きているのが奇跡的と言っても間違いではない。
ただ運が良かったとしか、言いようがなかった。
「しばらくは苦しいだろうが、薬が効けば数日で治る。それまで大人しく休んでおけ」
『どうして・・・』
ローにはまだ、分からなかったのだ。
彼女が悲しげに告げた言葉に隠された、本当の意味を。
“どうして、私を助けたの”