178°
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「・・・そうか」
今まで抱いていた嫉妬とか、怒りなどという感情をすべて通り越して、まるで自分のすべてを否定されたような、そんな感覚に陥った。
彼女がそんなつもりで言ったのではないことは、百も承知だ。
だが、今のローを落胆させるには、あまりにも十分すぎる言葉だった。
彼女を想っているのは自分の勝手だとしても、彼女にはそんな想いはひとかけらもない。
嫌でもそう思い知らされてしまったような気がした。
いつ会えるか、“次”があるかわからない存在に、自分は負けたのだ。
なまえは自分の近くにいるはずなのに、ものすごく遠くにいるような距離感を感じた。
それは決して手の届かない長い直線の端と端にいるような、
燦々と輝く太陽の下で、不自然に取り残された水溜まりのような。
心のどこかで芽吹いていた秘めた想いは、一言も口に出来ないままで結末を知った。
彼女は決して、おれのものにはならないと。
「叶うといいな、・・・お前の願いが」
やっとの思いでローがそう言うと、なまえはどこか寂しげな笑顔を浮かべた。
『ええ・・・』
なまえが何を望んだのか、ローは知らないだろう。
そのまま何も知らないでいてほしい。
助けてくれた恩人である彼に、決して知られてはならない。
そう、何も知らない。
ローはなまえの願いを、
なまえはローの傷を。
それは知らない方が幸せなのか、
その答えはわからないまま。