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それは、あまりにも予想外の言葉だった。
冗談かと笑い飛ばすことも出来たが、彼女のその眼は、間違いなく本気だった。
生き急ぐことすら早い気もするが、彼女はそれどころか、それ以上を望んでいた。
「なぜ死に急ぐ」
面倒事は嫌いだ。
しかし、わざわざ自分を訪ねてきた理由が、命を奪ってほしいからだと。
そんな事を言われたのは、40年近く生きてきた中でも初めてだった。
何が彼女にそんな決断をさせたのか、めずらしく深く興味を抱いた。
『私の存在が、罪だからです』
きっぱりと言い切ったその姿は、
儚く、脆く、哀しく、強く、気高く、
そして何より、美しかった。
そんな彼女が、自らの存在を罪だと言った。
「人は生きている限り、何かしらの罪を犯し、背負い、重ねてゆく。
誰一人、この世で無罪であることなど決して叶わぬ。
それが、生きるということではないのか」
人は争いを起こさなかったとしても、生きるために命を喰らい、自然を破壊し、傷つけてゆく。
他の生物や自然から見れば、人間という存在は誰しもが罪人なのだ。
この世で無罪でいることなど、決して不可能なのだ。
ミホークの言葉になまえは俯くと、首を横に振った。
『本来ならば・・・私はもうこの世に存在しているはずがない・・・時の流れに逆らった存在です。これ以上、傷付く必要のない人たちを、私のせいで傷付けるわけにはいきません』
そこで初めて、彼は彼女は独りよがりで死を望んでいるのではなく、誰かを守るために自らを犠牲にしようとしているのだと理解する。
『私は一度、死のうとしました。けれど様々な偶然が重なり、それは叶わなかった・・・
けれど、自ら捨てようとした私の命を助けてくれた人たちが、私のせいで危険な目に合っている姿など、二度と見たくない。
今度こそ・・・終わりにしたい。
私では終えることが出来なかったのです。
ならばどうか・・・世界一の剣豪である貴方の手で、その剣で、この身体を斬り・・・すべて終わりにしていただけませんか』
かつて、彼に倒されていった人間のほとんどは、私利私欲のためだけに他人を傷付けていた。
しかし彼女は違った。
誰も傷付けないために自分が傷付き、その命に幕を下ろすことを望んでいる。
「お前がここに存在しているということは・・・自らが望んだその道を、天が許さなかったということだ。
ならばおれが天に背き、お前の命を奪う理由はない」
『どうして・・・!!私は・・・!』
なまえはミホークの言葉に落胆した。
なぜ、許してくれないのか。
なぜ、わかってくれないのか。
なぜ、この世界に留まる必要があるのか。
ただ、終わりにしたいだけなのに。
やりきれない気持ちだけが駆け巡る。
珍しい客だ、とミホークが呟いた瞬間。
今この場で一番、逢いたくない存在の声が響いた。
「なまえっ!!」
あぁ、なんて残酷なのだろう。
来てほしくなかったのに。
知られたくなかったのに。
やはり、許してはくれないのか。
この身を地獄へ落とすことを、
この命を、終わらせることを。
冗談かと笑い飛ばすことも出来たが、彼女のその眼は、間違いなく本気だった。
生き急ぐことすら早い気もするが、彼女はそれどころか、それ以上を望んでいた。
「なぜ死に急ぐ」
面倒事は嫌いだ。
しかし、わざわざ自分を訪ねてきた理由が、命を奪ってほしいからだと。
そんな事を言われたのは、40年近く生きてきた中でも初めてだった。
何が彼女にそんな決断をさせたのか、めずらしく深く興味を抱いた。
『私の存在が、罪だからです』
きっぱりと言い切ったその姿は、
儚く、脆く、哀しく、強く、気高く、
そして何より、美しかった。
そんな彼女が、自らの存在を罪だと言った。
「人は生きている限り、何かしらの罪を犯し、背負い、重ねてゆく。
誰一人、この世で無罪であることなど決して叶わぬ。
それが、生きるということではないのか」
人は争いを起こさなかったとしても、生きるために命を喰らい、自然を破壊し、傷つけてゆく。
他の生物や自然から見れば、人間という存在は誰しもが罪人なのだ。
この世で無罪でいることなど、決して不可能なのだ。
ミホークの言葉になまえは俯くと、首を横に振った。
『本来ならば・・・私はもうこの世に存在しているはずがない・・・時の流れに逆らった存在です。これ以上、傷付く必要のない人たちを、私のせいで傷付けるわけにはいきません』
そこで初めて、彼は彼女は独りよがりで死を望んでいるのではなく、誰かを守るために自らを犠牲にしようとしているのだと理解する。
『私は一度、死のうとしました。けれど様々な偶然が重なり、それは叶わなかった・・・
けれど、自ら捨てようとした私の命を助けてくれた人たちが、私のせいで危険な目に合っている姿など、二度と見たくない。
今度こそ・・・終わりにしたい。
私では終えることが出来なかったのです。
ならばどうか・・・世界一の剣豪である貴方の手で、その剣で、この身体を斬り・・・すべて終わりにしていただけませんか』
かつて、彼に倒されていった人間のほとんどは、私利私欲のためだけに他人を傷付けていた。
しかし彼女は違った。
誰も傷付けないために自分が傷付き、その命に幕を下ろすことを望んでいる。
「お前がここに存在しているということは・・・自らが望んだその道を、天が許さなかったということだ。
ならばおれが天に背き、お前の命を奪う理由はない」
『どうして・・・!!私は・・・!』
なまえはミホークの言葉に落胆した。
なぜ、許してくれないのか。
なぜ、わかってくれないのか。
なぜ、この世界に留まる必要があるのか。
ただ、終わりにしたいだけなのに。
やりきれない気持ちだけが駆け巡る。
珍しい客だ、とミホークが呟いた瞬間。
今この場で一番、逢いたくない存在の声が響いた。
「なまえっ!!」
あぁ、なんて残酷なのだろう。
来てほしくなかったのに。
知られたくなかったのに。
やはり、許してはくれないのか。
この身を地獄へ落とすことを、
この命を、終わらせることを。