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やっと、太陽が水平線から昇り始めた時刻。
なまえはひとり船を抜け出すと、街へと走っていた。
きっと、こんなチャンスは二度とない。
こんな偶然も、二度とない。
朝方特有の肌寒さを感じる中、ひたすら走る。
それは昨日、ベポやシャチたちと買い物に出ていた時だった。
偶然耳に入った、街の住人の言葉。
“鷹の目がこの街にいるらしい”
なんという偶然だろうと思った。
今しかないと思った。
船を抜け出したことに気付かれてしまう前に、とにかく急がなければと、懸命に走った。
時間がない。
ひたすら走り回って探し続け、どのくらい過ぎたのだろう。
海岸に一人立つ、貫禄のある姿を見つけた。
背中に背負った大きな剣。
間違いがない。
呼吸を落ち着けながらゆっくりと近付くと、鷹の目と怖れられるその眼はなまえに向けられることはなく、背を向けたまま一言、口を開いた。
「何の用だ、娘」
自分に近付いてくる気配は、すぐにわかった。
こんな朝方に、たったひとりで来たのだろうか。
面白半分に自分を見に来たのでも、ただ迷ったのでもなさそうだと、瞬間的に感じ取っていた。
『貴方が世界一の剣豪・・・ジュラキュール・ミホーク様ですね』
なまえがそう呼ぶと、ミホークはやっとなまえの姿を目に捉えた。
それはまるで獲物を狩る鷹のような、鋭い目。
言葉がなくても、視線だけですべてを射抜かれるような重圧を感じる。
そんな重圧に押されそうになりながらも、覚悟を決めて言葉を紡ぐ。
『お願いがあって、参りました』
その言葉に、ミホークは興味が湧いた。
命乞い以外に、自分に願いを乞う人間などそうそういない。
ましてやいきなり現れた見知らぬ若い女が、自分に願うことなど何があるのか。
面倒事は好まない。
しかし、予測していなかった事態に、強く興味を惹かれたのだ。
「申してみよ」
そう告げたときの、一瞬嬉しそうな、
しかしどこか寂しそうな、
覚悟を決めたような、
どこか切なさと強さを秘めた、 何とも言えない表情が、さらにミホークの興味を募らせた。
おれに何を望む、若き娘よ。
彼女から告げられた願いは、意外なものだった。
“私を、斬っていただきたいのです”
なまえはひとり船を抜け出すと、街へと走っていた。
きっと、こんなチャンスは二度とない。
こんな偶然も、二度とない。
朝方特有の肌寒さを感じる中、ひたすら走る。
それは昨日、ベポやシャチたちと買い物に出ていた時だった。
偶然耳に入った、街の住人の言葉。
“鷹の目がこの街にいるらしい”
なんという偶然だろうと思った。
今しかないと思った。
船を抜け出したことに気付かれてしまう前に、とにかく急がなければと、懸命に走った。
時間がない。
ひたすら走り回って探し続け、どのくらい過ぎたのだろう。
海岸に一人立つ、貫禄のある姿を見つけた。
背中に背負った大きな剣。
間違いがない。
呼吸を落ち着けながらゆっくりと近付くと、鷹の目と怖れられるその眼はなまえに向けられることはなく、背を向けたまま一言、口を開いた。
「何の用だ、娘」
自分に近付いてくる気配は、すぐにわかった。
こんな朝方に、たったひとりで来たのだろうか。
面白半分に自分を見に来たのでも、ただ迷ったのでもなさそうだと、瞬間的に感じ取っていた。
『貴方が世界一の剣豪・・・ジュラキュール・ミホーク様ですね』
なまえがそう呼ぶと、ミホークはやっとなまえの姿を目に捉えた。
それはまるで獲物を狩る鷹のような、鋭い目。
言葉がなくても、視線だけですべてを射抜かれるような重圧を感じる。
そんな重圧に押されそうになりながらも、覚悟を決めて言葉を紡ぐ。
『お願いがあって、参りました』
その言葉に、ミホークは興味が湧いた。
命乞い以外に、自分に願いを乞う人間などそうそういない。
ましてやいきなり現れた見知らぬ若い女が、自分に願うことなど何があるのか。
面倒事は好まない。
しかし、予測していなかった事態に、強く興味を惹かれたのだ。
「申してみよ」
そう告げたときの、一瞬嬉しそうな、
しかしどこか寂しそうな、
覚悟を決めたような、
どこか切なさと強さを秘めた、 何とも言えない表情が、さらにミホークの興味を募らせた。
おれに何を望む、若き娘よ。
彼女から告げられた願いは、意外なものだった。
“私を、斬っていただきたいのです”