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自分があんなことを言わなければ。
こんなことにはならなかった。
あの時も、今も。
そう、引き金を引くのは、いつだって自分自身なのだ。
総勢で街を走り回る、ハートの海賊団の姿があった。
誰も一言も話さず、無心で走り続けるその姿は、街の住人たちから見れば違和感や恐怖しか感じないだろう。
今は、そんなことに構っている暇などなかった。
朝方、眠れずにいたローの耳に聴こえてきたのは、異常なほど頭に響く、足音。
弱りきった身体には、酷だった。
朝方から何を急いでいるのかと思ったところに、追い討ちをかけるように、部屋のドアを叩く音が響く。
ノックなんて優しいレベルではなく、ドンドンと殴るような叩き方に、ローの機嫌は下がるばかりだった。
「キャプテン!キャプテンっ!大変!!」
そんなことはまるでおかまいなし、とでもいうかのようにドアを隔てて聴こえたのは、ベポの焦りきった声。
何事かと、ソファーからふらりと立ち上がってドアを開けると、今にも泣きそうな顔が目に飛び込んできた。
「キャプテン、なまえが・・・!!」
“なまえがいなくなっちゃったんだよ!”
ベポの言葉に、頭を殴られたような衝撃を受ける。
頭が真っ白になるとは、こういうことを言うのか。
原因はわかっている。
あの時、心配してくれていた彼女に、優しい言葉のひとつやふたつぐらい掛けてやることだって出来たはずだった。
誰が悪いわけでもなく、結局はすべて自分の責任なのだ。
そう、いつも。
そして、取り返しのつかないことになってしまうのだ。
「全員でなまえを探せ!今すぐだ!」
怒鳴り声に近いローの言葉を合図に、全員が船を飛び出してから、もうどれぐらい走り回っているのだろう。
ただでさえ広い街。
自分から出ていった?拐われた?
誰も気付かなかったのか?
いろいろな事態が頭を過る。
けれど、あんな態度を取ってしまった手前、どんな顔をして彼女と顔を合わせれば良いのだろう。
傷付けたのは、自分なのに。
削りに削られたローの体力も、気力も、もはや限界に近付いていた。
「キャプテンっ!あれ!!」
シャチが大声を出して指差したのは、海岸。
太陽の光に反射して、まるできらめく宝石のような白い砂浜。
寄せては返す穏やかな波。
潮風に乗る、柔らかな長い髪。
間違いない、彼女だ。
しかし。
安堵したのも、ほんの一瞬だった。
美しい渚を背に立っていたのは、
なまえひとりだけではなかった。
その姿を目に捉えた瞬間、あまりの衝撃に、空気が凍り付いた。
「なんで、ここに・・・!!」
予想外中の予想外の人物が、彼女と対峙している。
背中に背負われた大剣。
白くきらめく砂とは真逆の、深い漆黒の上着。
目深に被られた帽子。
胸元で重圧を放つように輝く十字架。
存在そのものが、空気すら威圧している。
間違いない、あの男はー
「鷹の目・・・!!!」
世界最強の剣士、
“鷹の目”
ジュラキュール・ミホークだった。
こんなことにはならなかった。
あの時も、今も。
そう、引き金を引くのは、いつだって自分自身なのだ。
総勢で街を走り回る、ハートの海賊団の姿があった。
誰も一言も話さず、無心で走り続けるその姿は、街の住人たちから見れば違和感や恐怖しか感じないだろう。
今は、そんなことに構っている暇などなかった。
朝方、眠れずにいたローの耳に聴こえてきたのは、異常なほど頭に響く、足音。
弱りきった身体には、酷だった。
朝方から何を急いでいるのかと思ったところに、追い討ちをかけるように、部屋のドアを叩く音が響く。
ノックなんて優しいレベルではなく、ドンドンと殴るような叩き方に、ローの機嫌は下がるばかりだった。
「キャプテン!キャプテンっ!大変!!」
そんなことはまるでおかまいなし、とでもいうかのようにドアを隔てて聴こえたのは、ベポの焦りきった声。
何事かと、ソファーからふらりと立ち上がってドアを開けると、今にも泣きそうな顔が目に飛び込んできた。
「キャプテン、なまえが・・・!!」
“なまえがいなくなっちゃったんだよ!”
ベポの言葉に、頭を殴られたような衝撃を受ける。
頭が真っ白になるとは、こういうことを言うのか。
原因はわかっている。
あの時、心配してくれていた彼女に、優しい言葉のひとつやふたつぐらい掛けてやることだって出来たはずだった。
誰が悪いわけでもなく、結局はすべて自分の責任なのだ。
そう、いつも。
そして、取り返しのつかないことになってしまうのだ。
「全員でなまえを探せ!今すぐだ!」
怒鳴り声に近いローの言葉を合図に、全員が船を飛び出してから、もうどれぐらい走り回っているのだろう。
ただでさえ広い街。
自分から出ていった?拐われた?
誰も気付かなかったのか?
いろいろな事態が頭を過る。
けれど、あんな態度を取ってしまった手前、どんな顔をして彼女と顔を合わせれば良いのだろう。
傷付けたのは、自分なのに。
削りに削られたローの体力も、気力も、もはや限界に近付いていた。
「キャプテンっ!あれ!!」
シャチが大声を出して指差したのは、海岸。
太陽の光に反射して、まるできらめく宝石のような白い砂浜。
寄せては返す穏やかな波。
潮風に乗る、柔らかな長い髪。
間違いない、彼女だ。
しかし。
安堵したのも、ほんの一瞬だった。
美しい渚を背に立っていたのは、
なまえひとりだけではなかった。
その姿を目に捉えた瞬間、あまりの衝撃に、空気が凍り付いた。
「なんで、ここに・・・!!」
予想外中の予想外の人物が、彼女と対峙している。
背中に背負われた大剣。
白くきらめく砂とは真逆の、深い漆黒の上着。
目深に被られた帽子。
胸元で重圧を放つように輝く十字架。
存在そのものが、空気すら威圧している。
間違いない、あの男はー
「鷹の目・・・!!!」
世界最強の剣士、
“鷹の目”
ジュラキュール・ミホークだった。