178°
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歌姫の目が醒めたとき、
真っ先に視界に入ったのは、白い色だった。
物音ひとつしない、静かな空間。
天国にしてはやけに静かな場所だが、地獄にしては、ずいぶん明るいと思った。
これから自分がどうなるのか、まったく予測はつかないが、そんなことを考えられる心の余裕がまだ自分の中にあるのかと思うと、どこか安心すら覚えた。
自分の下した決断に、心残りがひとつもないと言えば嘘になる。
しかし、結果的にはこれで良かったのだと。
今はただ素直にそう思えた。
ふと視線をやった自分の腕に疑問を抱く。
腕には針が刺さっており、痛々しさを醸し出していた。
さらにそれの先に繋がれたチューブに気付く。
なぜ、こんなものに繋がれているのか。
ふと顔を動かすと、見慣れない道具がたくさん入った棚が目に映った。
死後の世界とは、こんなに現実的なものなのだろうか。
地獄の業火を想定していただけに、目の前の景色は逆に困惑を呼ぶばかりだった。
それとも、まさか、もしかして。
彼女の思考が、あるひとつの可能性に行き着いたのと、部屋のドアが開いたのはほぼ同時だった。