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Your Name?
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一瞬、何が起きたのかわからなかった。
抱き締められていると理解するのには、少し時間がかかった。
『ろ、ローさん・・?』
突然のことに驚き、反射的に身を退こうとするなまえの身体を、離すことはなかった。
離れようとすればするほど強くなる腕の力に、離してはくれないと悟った。
「もっとだ・・・」
『え?』
「もっと、呼んでくれ・・・・」
そうだ、
始めて会ったあの時も、彼は・・・
“ローでいい、お前にはそう呼んでもらいたい”
“もっと”
ぼんやりと思い出せれた記憶の中でも、
彼は執拗に、名前を呼ばれることを懇望していた。
そして、今でも。
『・・・ロー』
思えば、船の中でローと呼んでいる者はいない。
皆、船長やキャプテンと呼んでいるのに対して、なぜ彼は、自分に名前を呼ぶことを望むのか。
理由はわからないけれど、それを拒否する理由もない。
彼の、望みなのだ。
『ロー』
彼女が優しくそう呼び、観念したように身体を預けると、ローはまた抱き締める力を強めた。
かつて、愛を込めて彼の・・・ローの名前を呼んでくれた人は、もうこの世界には誰一人として存在しなくなってしまった。
何も返せなかった。何もあげられなかった。
何も伝えられないまま、この世を去ってしまった。
彼ひとりだけを残して。
気休めの言葉ならいらない。
取り繕ったような約束もいらない。
今、彼女はここにいる。
その事実だけで充分だ。
どんなに願っても、もう二度と笑いかけてはくれないあなたはあの時、何を思っていたのだろう。
大切なものは、作りたくなかった。
あなたを、失ってから。
“ロー”
あぁ、わかってるよ。
おれはもう、非力なガキじゃない。
今度こそ、必ず。
何があっても、守ってみせる。
この手で。
抱き締められていると理解するのには、少し時間がかかった。
『ろ、ローさん・・?』
突然のことに驚き、反射的に身を退こうとするなまえの身体を、離すことはなかった。
離れようとすればするほど強くなる腕の力に、離してはくれないと悟った。
「もっとだ・・・」
『え?』
「もっと、呼んでくれ・・・・」
そうだ、
始めて会ったあの時も、彼は・・・
“ローでいい、お前にはそう呼んでもらいたい”
“もっと”
ぼんやりと思い出せれた記憶の中でも、
彼は執拗に、名前を呼ばれることを懇望していた。
そして、今でも。
『・・・ロー』
思えば、船の中でローと呼んでいる者はいない。
皆、船長やキャプテンと呼んでいるのに対して、なぜ彼は、自分に名前を呼ぶことを望むのか。
理由はわからないけれど、それを拒否する理由もない。
彼の、望みなのだ。
『ロー』
彼女が優しくそう呼び、観念したように身体を預けると、ローはまた抱き締める力を強めた。
かつて、愛を込めて彼の・・・ローの名前を呼んでくれた人は、もうこの世界には誰一人として存在しなくなってしまった。
何も返せなかった。何もあげられなかった。
何も伝えられないまま、この世を去ってしまった。
彼ひとりだけを残して。
気休めの言葉ならいらない。
取り繕ったような約束もいらない。
今、彼女はここにいる。
その事実だけで充分だ。
どんなに願っても、もう二度と笑いかけてはくれないあなたはあの時、何を思っていたのだろう。
大切なものは、作りたくなかった。
あなたを、失ってから。
“ロー”
あぁ、わかってるよ。
おれはもう、非力なガキじゃない。
今度こそ、必ず。
何があっても、守ってみせる。
この手で。