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Your Name?
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『これは・・・・』
ドレスを見て驚くなまえを、ベポやシャチ、ペンギンは笑顔で見つめる。
「キャプテンからだよ。きっとなまえに似合うからって!」
『え?』
ベポがそう言うや、照れ隠しなのか、ローはさっさと自室へ入ってしまった。
彼は気付いていたのだ、
彼女が舞踏会のポスターをずっと見ていたこと、ドレス屋でドレスをみていたこと。
彼女に気付かれないようにこっそりドレスを買い、ベポたちに船に運ばせていたのだ。
何も言っていないのに、わかってくれていたこと。
それが素直に嬉しかった。
『ありがとう、ローさん。嬉しかった・・・』
そう言って笑顔になった彼女の姿を見て、ローの頭に蘇ってきた記憶。
ローが彼女のドレス姿を見るのは初めてではない、2回目だ。
始めて出会った時、なまえはきれいなドレスを着て、歌っていた。
『ローさんは、行かなくて良かったの?』
「踊りはわからない。興味もない」
そうとしか、答えを返せなかった。
幼い頃に少しかじった程度だが、ダンスの知識が全くないわけではない。
本当は思い出したくなかったからだ。
幸せだった、あの頃を。
事あるごとに開催される祭りで、町の人々は楽しそうに踊っていた。
かつては栄えていた故郷、フレバンス。
優秀な医師だった父、
いつも笑顔の優しかった母、
まだ幼かった可愛い妹、
清く穏やかなシスター、
そして共に学んだ友逹。
その名を口に出すことすら許されない故郷。
二度と帰ることの出来ない場所。
どんなに願っても、もう戻れないあの頃。
哀しみの色に染まった、白い町。
目の前で全てを焼き付くした業火。
蝕む病の前に悟った、命の期限。
運命を呪い、全てを壊すと誓ったあの日。
誰も信じないと心に決めて生きる中で、
自分に手を差しのべて、笑って、泣いてくれた人。
希望という言葉の意味を知り、
未来へ、生きてみようと思ったのに。
それすらも失ったあの日から、
彼の世界は、色を亡くした。
それ故に、彼女の存在は眩しかった。
どうしようもなく、彼女の記憶に留まりたかった。
彼女は風に舞い、優雅に空を翔る、自由な鳥のように見えた。
それが羨ましかったのかもしれない。
指図も命令も受けない。
自分の意思で、生きている。
手を伸ばせば、触れられる。
彼女は今、目の前にいる。
あなたが見たら、何て言ってくれるのだろう。
おれはもう、二度と・・・・
「・・・なまえ」
ローの漆黒の瞳に、なまえの瞳が重なった瞬間。
彼女の細い身体は、ローの腕の中へと閉じ込められていた。
ドレスを見て驚くなまえを、ベポやシャチ、ペンギンは笑顔で見つめる。
「キャプテンからだよ。きっとなまえに似合うからって!」
『え?』
ベポがそう言うや、照れ隠しなのか、ローはさっさと自室へ入ってしまった。
彼は気付いていたのだ、
彼女が舞踏会のポスターをずっと見ていたこと、ドレス屋でドレスをみていたこと。
彼女に気付かれないようにこっそりドレスを買い、ベポたちに船に運ばせていたのだ。
何も言っていないのに、わかってくれていたこと。
それが素直に嬉しかった。
『ありがとう、ローさん。嬉しかった・・・』
そう言って笑顔になった彼女の姿を見て、ローの頭に蘇ってきた記憶。
ローが彼女のドレス姿を見るのは初めてではない、2回目だ。
始めて出会った時、なまえはきれいなドレスを着て、歌っていた。
『ローさんは、行かなくて良かったの?』
「踊りはわからない。興味もない」
そうとしか、答えを返せなかった。
幼い頃に少しかじった程度だが、ダンスの知識が全くないわけではない。
本当は思い出したくなかったからだ。
幸せだった、あの頃を。
事あるごとに開催される祭りで、町の人々は楽しそうに踊っていた。
かつては栄えていた故郷、フレバンス。
優秀な医師だった父、
いつも笑顔の優しかった母、
まだ幼かった可愛い妹、
清く穏やかなシスター、
そして共に学んだ友逹。
その名を口に出すことすら許されない故郷。
二度と帰ることの出来ない場所。
どんなに願っても、もう戻れないあの頃。
哀しみの色に染まった、白い町。
目の前で全てを焼き付くした業火。
蝕む病の前に悟った、命の期限。
運命を呪い、全てを壊すと誓ったあの日。
誰も信じないと心に決めて生きる中で、
自分に手を差しのべて、笑って、泣いてくれた人。
希望という言葉の意味を知り、
未来へ、生きてみようと思ったのに。
それすらも失ったあの日から、
彼の世界は、色を亡くした。
それ故に、彼女の存在は眩しかった。
どうしようもなく、彼女の記憶に留まりたかった。
彼女は風に舞い、優雅に空を翔る、自由な鳥のように見えた。
それが羨ましかったのかもしれない。
指図も命令も受けない。
自分の意思で、生きている。
手を伸ばせば、触れられる。
彼女は今、目の前にいる。
あなたが見たら、何て言ってくれるのだろう。
おれはもう、二度と・・・・
「・・・なまえ」
ローの漆黒の瞳に、なまえの瞳が重なった瞬間。
彼女の細い身体は、ローの腕の中へと閉じ込められていた。