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「ったく・・・なんでおれまでこんなのに参加しなきゃならねえんだ」
そう言って小さくため息をついたのは、ゾロだった。
ルジカの故郷であり、目的地であったリガル島は大きな島で、毎年恒例の王の誕生日を祝うための祭りが行われている最中で、島中が盛り上がっていた。
数日間に渡って開催される祭りは、島民はもちろん、冒険者や観光客も参加可能で、腕自慢のコックが作る料理も食べられる。
島民はみんなこの日を楽しみにしており、王宮で開かれる伝統的な仮面舞踏会には、大勢の人たちがドレスやタキシード、燕尾服などの豪華な衣装で参加する盛大な行事だった。
そんな話を聞いたルフィが大人しくしているはずはなく、無事に送り届けたルジカの勧めもあり、強制的に全員参加することになってしまった。
立食が終わり、皆はダンスを楽しんでいるが、賑やかな場所を好まないゾロにとっては、居心地が悪いことこの上ない状況だった。
仲間たちはみんなそれぞれ踊っているのに、会場の隅でひとり立っているゾロは、下手すれば踊る相手が見つからない寂しい人間にも見えてしまう。
サンジがまだ相手を見つけてないのか、と言わんばかりの視線を向けてくる。
それが非常に腹立たしい。
当の本人は、目をハートマークにして、きらびやかな衣装の女性に次々と声を掛けては踊っている。
仮面を付けているので相手の顔はわからないとはいえ、サンジのように女に声を掛けることに慣れている訳ではない上に、このような華やかな場所とは無縁で育ってきたゾロは踊り方さえ知らないため、ただただ苦痛でしかない。
だから来たくなかったんだ、と改めてそう思うとため息をついた。
ふと別の方向に目をやると、ひとりで隅の方にいる女が目に留まった。
紺色のシンプルなドレスに銀の仮面を着た女は、きょろきょろと周りを見ているが、踊る様子は全くない。
自分と同じで、相手はいないようだ。
ちょうどいいと、ゾロは女の元へと歩き出した。
おい、と声を掛けると、女はびくりとしたように振り向いた。
「踊らないのか」
「あっ・・・はい、えっと・・・」
いきなり声を掛けられて戸惑っているのか、女はわたわたと慌て出す。
「ちょうどいい、俺と踊れ」
「はい。私でよければ・・・」
ぶっきらぼうなゾロの誘いに、女は拒否はしなかった。
とりあえず、これでサンジから馬鹿にされることはなさそうだ。
周りの見よう見まねでゾロが彼女の腰に手を回すと、それは驚くほどに細かった。
「悪いが・・・ダンスはわからねェ。適当に踊ってくれれば合わせる」
本来ならば、男性がリードするのが普通なのだろうが、わからないものはわからないし、見栄を張っても仕方がない。
それに対して、女は特別何を言うわけでもなく、わかりました、と一言だけ答えた。
そう言って小さくため息をついたのは、ゾロだった。
ルジカの故郷であり、目的地であったリガル島は大きな島で、毎年恒例の王の誕生日を祝うための祭りが行われている最中で、島中が盛り上がっていた。
数日間に渡って開催される祭りは、島民はもちろん、冒険者や観光客も参加可能で、腕自慢のコックが作る料理も食べられる。
島民はみんなこの日を楽しみにしており、王宮で開かれる伝統的な仮面舞踏会には、大勢の人たちがドレスやタキシード、燕尾服などの豪華な衣装で参加する盛大な行事だった。
そんな話を聞いたルフィが大人しくしているはずはなく、無事に送り届けたルジカの勧めもあり、強制的に全員参加することになってしまった。
立食が終わり、皆はダンスを楽しんでいるが、賑やかな場所を好まないゾロにとっては、居心地が悪いことこの上ない状況だった。
仲間たちはみんなそれぞれ踊っているのに、会場の隅でひとり立っているゾロは、下手すれば踊る相手が見つからない寂しい人間にも見えてしまう。
サンジがまだ相手を見つけてないのか、と言わんばかりの視線を向けてくる。
それが非常に腹立たしい。
当の本人は、目をハートマークにして、きらびやかな衣装の女性に次々と声を掛けては踊っている。
仮面を付けているので相手の顔はわからないとはいえ、サンジのように女に声を掛けることに慣れている訳ではない上に、このような華やかな場所とは無縁で育ってきたゾロは踊り方さえ知らないため、ただただ苦痛でしかない。
だから来たくなかったんだ、と改めてそう思うとため息をついた。
ふと別の方向に目をやると、ひとりで隅の方にいる女が目に留まった。
紺色のシンプルなドレスに銀の仮面を着た女は、きょろきょろと周りを見ているが、踊る様子は全くない。
自分と同じで、相手はいないようだ。
ちょうどいいと、ゾロは女の元へと歩き出した。
おい、と声を掛けると、女はびくりとしたように振り向いた。
「踊らないのか」
「あっ・・・はい、えっと・・・」
いきなり声を掛けられて戸惑っているのか、女はわたわたと慌て出す。
「ちょうどいい、俺と踊れ」
「はい。私でよければ・・・」
ぶっきらぼうなゾロの誘いに、女は拒否はしなかった。
とりあえず、これでサンジから馬鹿にされることはなさそうだ。
周りの見よう見まねでゾロが彼女の腰に手を回すと、それは驚くほどに細かった。
「悪いが・・・ダンスはわからねェ。適当に踊ってくれれば合わせる」
本来ならば、男性がリードするのが普通なのだろうが、わからないものはわからないし、見栄を張っても仕方がない。
それに対して、女は特別何を言うわけでもなく、わかりました、と一言だけ答えた。