次の日の朝、食事が出来たと呼ぶサンジの声に、仲間たちは次々にキッチンへと足を運んでいた。
変わらぬ朝を過ごしていたルフィ達。
もう少しで島に着くと言ったナミの言葉に嬉しそうな声は上がったものの、以前とは雰囲気が変わってしまった。
次の島に着くということは、ルジカとの別れを意味している。
せっかく仲良くなれたのに、と残念がるチョッパーに、故郷にやっと帰れるのだから見送ってあげましょうと、ロビンが優しく声をかけた。
そんな会話の中、ルジカが、前から気になっていたのですが、と口を開いた。

「この船に・・・女の人って3人いるの？」

彼女は素朴な疑問を問い掛けただけなのだろうが、皆はその言葉に言葉を失う。
まるで凍り付いたように静まり返ってしまったキッチン。
聞いてはいけないことを聞いてしまったと思ったのだろう、ルジカは慌ててごめんなさい、と謝った。

「その・・・女部屋にベッドが３つあったから・・・」

それは普通の疑問だった。
女性はナミとロビンしかいないのに、ベッドが３つもあるのは不自然でしかない。
でもそれは、今この場にはいない、“もう一人”の存在を、確かに示していた。

「もう１人、いるんだ。おれたちの仲間が・・・」

そう言ったチョッパーの声は、少しだけ震えている。

「彼女は今、訳あって・・・私たちと離れて、遠くにいるんです」

ブルックが上手く助け船を出したが、静まり返ったこの状況は、誰もどうすることもできない。

生きているのか、それとも・・・
それすらわからない今は、万が一の展開なんて考えたくもない。

重苦しくなった雰囲気を打開するかのように、サンジが大量の豪華な朝食を並べ始めた。


「帰ってくる。・・・おれたちの所へ、絶対に」

なまえは生きてる、皆がそう願っている。
誰よりも強くそう信じているのはルフィであり、船長であるルフィが信じなかったら、誰が信じられるのか。
最後まで、望みは捨てない。
白か、黒か、答えがはっきりと出るまでは。
彼が、彼らが、諦める訳にはいかない。