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『いつかはきちんと・・・お話しなければならないと思っていました』
そう言って、まっすぐにローの眼を見つめる彼女の目に、もう迷いの色はなかった。
先祖代々、自分の一族には不思議な力があり、彼女にもその力は受け継がれたこと。
その力欲しさに、幼い頃から狙われてきたこと。
そんな中で白ひげ海賊団に助けられ、共に旅をしていたこと。
旅の途中、幻術師を名乗る人間の奇襲に遭い、火拳のエースと不死鳥マルコの命が危険に晒されたこと。
『もう、この力のせいで・・・私のせいで、誰にも危険な目に合って欲しくなかった。私さえいなくなればすべてが終わると、そう思いました。だから・・・終わりにするつもりでした』
それで終わればいいと、そう思っていた。
けれど、彼女はまだ天に行くには早かったらしい。
偶然に偶然が重なり、ローたちと出会って、助かった命だったのだ。
『ずっと黙っていてごめんなさい』
ローの中で、やっとパズルが完成した。
彼女がこの世界に存在することを、否定する何かがあるのかもしれない。
その何かとは他の誰でもない、彼女自身だった。
自分の大切な人たちを守ろうと願い、
彼女はたったひとりで、自分の命を懸けて決着をつける覚悟をしたのだ。
やっと真実を知ったローは、言葉が出なかった。
形は違えども、彼女はまるで幼い頃の自分のようだ。
最愛の家族や友人たちを失い、故郷を無くし、無責任な差別や偏見に曝され、身を追われて。
永くはない命の中で生きることを諦め、すべてを捨てて復讐しようとした、自分自身に。
「・・・余計なことをしたと、思ってるか」
それだけが、ローの心にずっと引っ掛かっていた。
自分は、余計なことをしたのかもしれない。
彼女は助けてほしいなど、まったく思っていなかったのだろう。
でも、少なくともあの時のローには、彼女を死なせる選択はなかったのだ。
そんなローに、なまえは首を横に振った。
『助けてくださったこと・・・心から感謝しています。この言葉に偽りはありません。ローさん、本当にありがとう』
そう微笑んでくれた彼女の姿を見て、ずっと背負った肩の荷が下りたような気がした。
『けれど・・・予想外のことが起こりました』
そう言って彼女がテーブルに置いたのは、七色の扇だった。
『この扇には、虹神の力が宿っています。常に虹色の光を放っていました。この力は強すぎるがゆえに、私たち一族以外は触れることも出来ません。本来ならば・・・ベポちゃんがこれに触れるはずがないんです』
けれど、ベポは間違いなくこの扇を、彼女に手渡していた。
そして今現在、扇は七色の光に輝くどころか、鈍く重たくくすんでいる。
『私は、力を失ってしまったんです』
これは虹神の怒りなのだと、
自ら命を落とそうとした自分への、裁きなのだと。
そう告げた彼女の瞳には、哀しみの色が映っていた。
そう言って、まっすぐにローの眼を見つめる彼女の目に、もう迷いの色はなかった。
先祖代々、自分の一族には不思議な力があり、彼女にもその力は受け継がれたこと。
その力欲しさに、幼い頃から狙われてきたこと。
そんな中で白ひげ海賊団に助けられ、共に旅をしていたこと。
旅の途中、幻術師を名乗る人間の奇襲に遭い、火拳のエースと不死鳥マルコの命が危険に晒されたこと。
『もう、この力のせいで・・・私のせいで、誰にも危険な目に合って欲しくなかった。私さえいなくなればすべてが終わると、そう思いました。だから・・・終わりにするつもりでした』
それで終わればいいと、そう思っていた。
けれど、彼女はまだ天に行くには早かったらしい。
偶然に偶然が重なり、ローたちと出会って、助かった命だったのだ。
『ずっと黙っていてごめんなさい』
ローの中で、やっとパズルが完成した。
彼女がこの世界に存在することを、否定する何かがあるのかもしれない。
その何かとは他の誰でもない、彼女自身だった。
自分の大切な人たちを守ろうと願い、
彼女はたったひとりで、自分の命を懸けて決着をつける覚悟をしたのだ。
やっと真実を知ったローは、言葉が出なかった。
形は違えども、彼女はまるで幼い頃の自分のようだ。
最愛の家族や友人たちを失い、故郷を無くし、無責任な差別や偏見に曝され、身を追われて。
永くはない命の中で生きることを諦め、すべてを捨てて復讐しようとした、自分自身に。
「・・・余計なことをしたと、思ってるか」
それだけが、ローの心にずっと引っ掛かっていた。
自分は、余計なことをしたのかもしれない。
彼女は助けてほしいなど、まったく思っていなかったのだろう。
でも、少なくともあの時のローには、彼女を死なせる選択はなかったのだ。
そんなローに、なまえは首を横に振った。
『助けてくださったこと・・・心から感謝しています。この言葉に偽りはありません。ローさん、本当にありがとう』
そう微笑んでくれた彼女の姿を見て、ずっと背負った肩の荷が下りたような気がした。
『けれど・・・予想外のことが起こりました』
そう言って彼女がテーブルに置いたのは、七色の扇だった。
『この扇には、虹神の力が宿っています。常に虹色の光を放っていました。この力は強すぎるがゆえに、私たち一族以外は触れることも出来ません。本来ならば・・・ベポちゃんがこれに触れるはずがないんです』
けれど、ベポは間違いなくこの扇を、彼女に手渡していた。
そして今現在、扇は七色の光に輝くどころか、鈍く重たくくすんでいる。
『私は、力を失ってしまったんです』
これは虹神の怒りなのだと、
自ら命を落とそうとした自分への、裁きなのだと。
そう告げた彼女の瞳には、哀しみの色が映っていた。