178°
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歩くのに苦労した雪道も、船から離れるにつれてだんだんと浅くなり、街に着く頃には、まったくその面影はなかった。
ローは何もなかったかのようにけろりとしているが、なまえの身体には相当な負担だったのは違いない。
それでも泣き言ひとつ言わない彼女にたくましさを感じる反面、どこか寂しさを感じた。
茶でも飲むか、と言ってローが喫茶店を指差すと、彼女は賛成、と言わんばかりにこくんと頷いた。
木造造りのどこか懐かしい雰囲気の店のドアを開けると、ドアベルがカランカラン、と鳴って来客を知らせた。
いらっしゃいませ、と出迎えたのは、優しそうな老齢の女性だった。
花柄のエプロンが良く似合っている。
ローがコーヒーとココアを頼むと、かしこまりました、と優しく微笑んでキッチンへと入っていった。
ゆったりとした音楽が流れる店内に、客はローとなまえの2人だけ。
他には誰もおらず、貸切状態だった。
お互い無言の微妙な雰囲気が何分続いたのだろう、やっとローが口を開き、彼女に疲れたか、と訊ねる。
彼の問いかけに彼女は首を横に振り、大丈夫と言って笑った。
そうか、と短い返事しか返せない自分もどこか情けないような気がする。
相手は、女1人なのに。
いつものローなら、こんな風になることはない。
何を話したらいいのかわからないなんて、今まであっただろうか。
やはり彼女は自分の中で、少なくとも特別な存在であるということなのだろうか。
お待たせしました、とローのコーヒーとなまえのココア、そして頼んでいないはずのケーキが2つ運ばれてきた。
不思議そうな顔をしていた2人に、女性はそれはサービスよ、とにっこりと笑った。
ぱっと表情が明るくなった彼女を見て、ローもコーヒーを一口飲む。
ありがたい申し出だったが、ローは甘いものが得意ではない。
美味しそうに食べる彼女に、自分の分も食べろと皿を差し出そうとした時、彼女はおもむろにフォークを置いた。
『ローさん』
改まって呼ばれた名前に、驚かなかったと言えば嘘になる。
『私・・・死ぬつもりだったんです』
ローは何もなかったかのようにけろりとしているが、なまえの身体には相当な負担だったのは違いない。
それでも泣き言ひとつ言わない彼女にたくましさを感じる反面、どこか寂しさを感じた。
茶でも飲むか、と言ってローが喫茶店を指差すと、彼女は賛成、と言わんばかりにこくんと頷いた。
木造造りのどこか懐かしい雰囲気の店のドアを開けると、ドアベルがカランカラン、と鳴って来客を知らせた。
いらっしゃいませ、と出迎えたのは、優しそうな老齢の女性だった。
花柄のエプロンが良く似合っている。
ローがコーヒーとココアを頼むと、かしこまりました、と優しく微笑んでキッチンへと入っていった。
ゆったりとした音楽が流れる店内に、客はローとなまえの2人だけ。
他には誰もおらず、貸切状態だった。
お互い無言の微妙な雰囲気が何分続いたのだろう、やっとローが口を開き、彼女に疲れたか、と訊ねる。
彼の問いかけに彼女は首を横に振り、大丈夫と言って笑った。
そうか、と短い返事しか返せない自分もどこか情けないような気がする。
相手は、女1人なのに。
いつものローなら、こんな風になることはない。
何を話したらいいのかわからないなんて、今まであっただろうか。
やはり彼女は自分の中で、少なくとも特別な存在であるということなのだろうか。
お待たせしました、とローのコーヒーとなまえのココア、そして頼んでいないはずのケーキが2つ運ばれてきた。
不思議そうな顔をしていた2人に、女性はそれはサービスよ、とにっこりと笑った。
ぱっと表情が明るくなった彼女を見て、ローもコーヒーを一口飲む。
ありがたい申し出だったが、ローは甘いものが得意ではない。
美味しそうに食べる彼女に、自分の分も食べろと皿を差し出そうとした時、彼女はおもむろにフォークを置いた。
『ローさん』
改まって呼ばれた名前に、驚かなかったと言えば嘘になる。
『私・・・死ぬつもりだったんです』