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『きれい・・・』
甲板から、辺り一面に広がる銀世界を見て、なまえは小さくそう言った。
今朝、ロー達が上陸した島は、大きな山を隔てて東西に別れており、船を停泊させた西側は、雪が深く積もっていた。
北の海出身のローにとって、それは特別めずらしい光景ではなかったが、彼女の育ったジュエル島では、雪は1年に数える程度しか降らなかったらしい。
嬉しそうに雪を眺めている彼女の笑顔は、ローが知る限りでは、初めて見る表情だった。
結局 何があったのか、彼女から話を聞くことは出来ないまま時間が過ぎた。
何か事情があるのは間違いがない。
そしてそれは、簡単に話せるものではないのだということも理解したローは、待つことにした。
彼女を苦しめたい訳ではないし、責めている訳でもない。
無理強いせず、彼女が自分から話そうと思えるようになるまで待つという決断をしたのだ。
無理に話さなくていい、いつか聞かせてくれればそれでいい。
そう言ったローに、彼女はどこかひどく安心したような表情を浮かべた。
それからというもの、肩の荷が下りたのか、彼女は笑顔を見せることが多くなった。
今はこれでいいのかもしれない。
まったく素性の知れない人間を乗せているわけではないのだし、彼女がこの船に危害を加える訳でもない。
それよりも、彼女がいつまでこの船にいるのかすら、わからないのだから。
「なまえ。後で一緒に、街に行かないか」
『え?』
ローの突然の誘いに、なまえは少し驚いたような表情を見せた。
そんな彼女に、ローは嫌ならいいんだ、としか言葉を返せなかった。
思えば、二人で出掛けたことは一度もない。
やはり嫌なのだろうかと思ったその時、彼女はローの目を見つめて、そんなわけないわ、と優しく言葉を返した。
『一緒に行きましょう、ローさん』
そう言って微笑んだ彼女の姿に、初めて出会った時の記憶が頭を掠めた。
あの日、彼女は美しい歌声を響かせていた。
その歌声に惹かれて集まった人たちに、彼女は優しく微笑んでいた。
世間では悪人と呼ばれる、自分にさえも。
なんて美しいのだろう。
あの日、彼はただ素直にそう思った。
歌姫との出逢いは、彼にとって忘れられないものとなり、心に深く刻まれた。
先のことなどわからないとは、良く言ったものだ。
彼女と過ごす時間は、ローや仲間たちに何を与えるのか。
そしてハートの海賊団と共に過ごす日々は、彼女に何をもたらすのだろうか。
甲板から、辺り一面に広がる銀世界を見て、なまえは小さくそう言った。
今朝、ロー達が上陸した島は、大きな山を隔てて東西に別れており、船を停泊させた西側は、雪が深く積もっていた。
北の海出身のローにとって、それは特別めずらしい光景ではなかったが、彼女の育ったジュエル島では、雪は1年に数える程度しか降らなかったらしい。
嬉しそうに雪を眺めている彼女の笑顔は、ローが知る限りでは、初めて見る表情だった。
結局 何があったのか、彼女から話を聞くことは出来ないまま時間が過ぎた。
何か事情があるのは間違いがない。
そしてそれは、簡単に話せるものではないのだということも理解したローは、待つことにした。
彼女を苦しめたい訳ではないし、責めている訳でもない。
無理強いせず、彼女が自分から話そうと思えるようになるまで待つという決断をしたのだ。
無理に話さなくていい、いつか聞かせてくれればそれでいい。
そう言ったローに、彼女はどこかひどく安心したような表情を浮かべた。
それからというもの、肩の荷が下りたのか、彼女は笑顔を見せることが多くなった。
今はこれでいいのかもしれない。
まったく素性の知れない人間を乗せているわけではないのだし、彼女がこの船に危害を加える訳でもない。
それよりも、彼女がいつまでこの船にいるのかすら、わからないのだから。
「なまえ。後で一緒に、街に行かないか」
『え?』
ローの突然の誘いに、なまえは少し驚いたような表情を見せた。
そんな彼女に、ローは嫌ならいいんだ、としか言葉を返せなかった。
思えば、二人で出掛けたことは一度もない。
やはり嫌なのだろうかと思ったその時、彼女はローの目を見つめて、そんなわけないわ、と優しく言葉を返した。
『一緒に行きましょう、ローさん』
そう言って微笑んだ彼女の姿に、初めて出会った時の記憶が頭を掠めた。
あの日、彼女は美しい歌声を響かせていた。
その歌声に惹かれて集まった人たちに、彼女は優しく微笑んでいた。
世間では悪人と呼ばれる、自分にさえも。
なんて美しいのだろう。
あの日、彼はただ素直にそう思った。
歌姫との出逢いは、彼にとって忘れられないものとなり、心に深く刻まれた。
先のことなどわからないとは、良く言ったものだ。
彼女と過ごす時間は、ローや仲間たちに何を与えるのか。
そしてハートの海賊団と共に過ごす日々は、彼女に何をもたらすのだろうか。