ウソップの話だと、薬草を採りに森に入ったふたりは、倒れている女を見つけたらしい。
女はひどい高熱を出しており、呼び掛けても反応もなく、意識が朦朧としていた。

このままでは危険だと診断したチョッパーは、土地勘のない島の病院をやみくもに探すよりも、船に戻って自分が治療した方が早いと判断し、帰って来たらしい。

倒れている人間を放置するなど、この一味の人間は誰にも出来ないだろう。
ましてや医者であるチョッパーなら、なおさらの話だ。
ゾロが納得をするには、十分すぎる内容だった。

それからどれくらいの時間が過ぎたのだろうか、しばらく経ってから処置を終えたチョッパーが、医務室から戻ってきた。
あと少し遅ければ、本当に命が危なかったらしい。
しばらくの間、静養が必要なのは明らかだった。
ログは２日で貯まるとナミが言っていたが、この島の住人かもしれない彼女を乗せて、勝手に船を出す訳にはいかない。

その後次々と帰って来た仲間たちも、医務室で眠っている女の姿を見て驚きはしたものの、事の経緯を知った以上、誰一人として怒ることはしなかった。
彼女は荷物も持っておらず、名前はおろか、この島の人間なのかどうかの手掛かりすらもない。
そうとなれば、安易に島の人間に預けることも躊躇われる。
彼女の目が覚めるのを待つしかないという状況だった。
しばらくはこの島に留まることになりそうだ。
早く目が覚めてくれればいいけど、と心配そうに言うナミの言葉に、チョッパーも小さく返事を返した。