その頃、麦わらの一味はというと、小さな島に上陸していた。

なまえの一件があってから、船内は前のような明るさはなくなり、静かな日々を過ごしていた。
そう、あのルフィでさえも。
何の情報もない今現在、彼女が生きているとは100％断言は出来ない。
そんな状況で、明るくしている方がおかしいと言えばおかしいのだが。

島に着いて、いつもなら元気よく飛び出していく姿もなく、みんな静かに街へと向かっていく。

誰も何も言葉を発することはない。
どうしたらいいのか、
何を言えばいいのか、
お互いにどんな言葉をかけたら良いのか、
この状況下でどうあるべきか、
誰も何もわからないまま、時間が過ぎてしまったというのが本当のところだった。


いつものように船番という名の昼寝をしていたゾロの耳に、バタバタと派手な足音が聞こえてきた。
敵ではないことは彼の勘ですぐにわかり、それは誰かが帰って来たことを示していた。
もう少し静かに帰ってこれないものかと一言、小言でも言ってやろうかと思ったが、足音の主・・・ウソップとチョッパーは、そんなゾロには目もくれず、医務室へと駆け込んでいった。

そのあまりの慌てぶりに、どこか怪我でもしたのだろうかと医務室を覗くと、見知らぬ女がぐったりした様子で、ベッドに横たわっていた。