「わあ！なまえ、それかわいいよ！」

洋服屋にて、新しい服を試着したなまえの姿を見た白熊は、嬉しそうにそう言った。
やわらかいラベンダー色のワンピースは、優しく穏やかな彼女の雰囲気にとてもよく似合っている。
それも買おう、と言ったベポは、リヤが止める間もなく、店員を呼びに走っていく。

まるで自分のことのように楽しみ、次から次へとこれはどうだ、あれがかわいい、それも買おう、などと洋服を選んでくれるベポに悪気はないのはよくわかっている。

会計所ではなまえが購入する予定の洋服が山積みになっており、店員たちがせっせと畳んでいた。
今現在、いくら着る服がないとは言っても、さすがにこれ以上買うのは気が引けた。

『ベポちゃん、もう十分よ。こんなにたくさん買うと、船に戻るのが大変だわ』

優しい白熊を傷つけないように、やんわりと断りを入れるが、ベポは首を横にふった。

「キャプテン、なまえにいっぱいお金渡したでしょ？
なまえには不自由な思いさせたくないんだって。ひとりで買い物に行っても、きっと遠慮して、あんまり買ってこないだろうからって・・」

だからいっぱい買っても大丈夫だよ、と笑ったベポに、驚きを隠せない。

ローがそんなことを言っていたなど、予想もしていなかった。
彼はそこまで見抜いていたのだろうか。
わかっていたからこそ、ひとりで行かせず、ベポを同行させたのだろう。

逆に買ってこなければ、ローの機嫌を損ねるかもしれない。
言葉でこそ伝えないが、それはローの不器用な優しさだった。

キャプテンもきっと似合うって褒めてくれるよ、と言ってベポはにっこりと笑った。