伸ばしたその手は蒼き世界へ
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その言葉の真意がわかっていたのなら、
おれは、どうしていたのだろう。
あのとき、彼女が見据えていたものは何だったのか。
それを知る手だては、もうない。
『本来ならば、私はもう存在しないはずの人間・・・
時に逆らって生きるなど大罪。
この世では決してあってはならないこと。
私は何も知らない“普通の人間”として・・・この命に、歴史に、すべてに自分自身の意思で終止符を打たせてほしい』
そう言うと、彼女は一度、空を仰いで。
自ら荒れ狂う海へと、その身体を落とした。
最後に目があったとき、
彼女は静かに微笑みながら、確かに、こう言った。
“ごめんね、エース”
大荒れの波の中、
歌姫の姿は、もう見えない。
それでも、彼女を掴もうと必死に手を伸ばすが、
伸ばしたその手は、届かなかった。
皆の叫び声だけが響いていた。
どれぐらい、そうしていたのだろう。
いつの間にか空は晴れ渡り、
雲の間からは光が射し込んで、この世界を照らしていた。
まるで、何事もなかったかのように。
この景色を忘れることは、一生赦されないのだろう。
誰か、これは夢だと、悪夢なんだと言ってほしい。
目が覚めたら、何もかもが元通りで。
いつもと変わらない時間がくる。
そんな世界を今、切に望んだ。
そんな祈りを込めて見上げた空は、
泣きたくなるほど清んでいて、
哀しいほどに蒼かった。
歌姫は、蒼き世界へと誘われた。
心配するな、ルフィ。
なまえは、必ず守る。
本気でそう思っていた。
そう。今、この瞬間までは。
伸ばしたその手は蒼き世界へ 完結
おれは、どうしていたのだろう。
あのとき、彼女が見据えていたものは何だったのか。
それを知る手だては、もうない。
『本来ならば、私はもう存在しないはずの人間・・・
時に逆らって生きるなど大罪。
この世では決してあってはならないこと。
私は何も知らない“普通の人間”として・・・この命に、歴史に、すべてに自分自身の意思で終止符を打たせてほしい』
そう言うと、彼女は一度、空を仰いで。
自ら荒れ狂う海へと、その身体を落とした。
最後に目があったとき、
彼女は静かに微笑みながら、確かに、こう言った。
“ごめんね、エース”
大荒れの波の中、
歌姫の姿は、もう見えない。
それでも、彼女を掴もうと必死に手を伸ばすが、
伸ばしたその手は、届かなかった。
皆の叫び声だけが響いていた。
どれぐらい、そうしていたのだろう。
いつの間にか空は晴れ渡り、
雲の間からは光が射し込んで、この世界を照らしていた。
まるで、何事もなかったかのように。
この景色を忘れることは、一生赦されないのだろう。
誰か、これは夢だと、悪夢なんだと言ってほしい。
目が覚めたら、何もかもが元通りで。
いつもと変わらない時間がくる。
そんな世界を今、切に望んだ。
そんな祈りを込めて見上げた空は、
泣きたくなるほど清んでいて、
哀しいほどに蒼かった。
歌姫は、蒼き世界へと誘われた。
心配するな、ルフィ。
なまえは、必ず守る。
本気でそう思っていた。
そう。今、この瞬間までは。
伸ばしたその手は蒼き世界へ 完結
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