伸ばしたその手は蒼き世界へ
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見知った顔のはずなのに。
なぜ、こんなにも震えが止まらないのだろう。
海軍の船から降り、泊まる場所も見つけて、すっかり安心していた。
変わらない1日が、今日も始まるはずだった。
「よォ。久しぶりだな?」
声の主がゆっくりと近付いてくるのに対し、なまえの足は震えながら後ずさる。
「ずいぶん、探したんだぜ・・?」
目が覚めて、ちょうど身支度が終わったころ、部屋のドアを叩く音がした。
ホテルのボーイと思いこんだのが、間違いだった。
視界に入ったのは、うつむき加減の顔を器用に隠した、黒髪に映えるオレンジのテンガロンハット。
反射的に後ろを振り返り、窓の外を見ると、そこには美しい、青い翼が空を舞っていた。
もう逃げられない。そう悟った。
「ずっと探してたんだ。お前がいなくなった日から、ずっと」
それはなまえが知っている、無邪気に笑う彼の姿ではなかった。
「なぁ、何でなんだよ。何で急に姿を消した?」
簡単に理由が言えるなら、逃げる必要なんてなかったのに。
「答えてくれよ、なまえ・・・」
なのにどうして、
どうしてあなたが、そんなに苦しそうな顔をしているの、
『エース、あなたこそ・・・なぜ黙っていたの?麦わらのルフィは、あなたの弟だと・・・』
その言葉に、エースは確信せざるを得なくなった。
彼女は自分のせいで、姿を消したのだと。
騙していたつもりは全くない。
けれど、どこか心苦しい。
「確かにルフィは・・・おれの弟だ。それは事実だ。だけど・・・」
この感覚を、エースはずっと昔から知っている。
「今・・・なまえの前にいるのはルフィじゃねェ。おれだ」
望んだわけじゃないのに。
世間はそれを、許しはしなかった。
「お前は、おれを見てはくれないのかよ・・・」
ロジャーの息子。
頼んだ訳でもないのに、ロジャーに向けられる世間の冷たい目。
生きる意味を、問い掛けた。
エースが望んだのは、肩書きも何もかも捨てて、ただ自分を自分として、見てほしい。
ただ、それだけでよかった。
「確かにおれはルフィの兄貴だ。でも・・・おれはおれなんだ。お前は、おれを見てはくれないのかよ!おれは、なまえを・・・」
ずっと見ていたのに。
願ったことはただひとつ、
万が一、彼女がすべてを知ったとしても。
変わらずにずっと、その優しい微笑みで笑いかけてほしいと。
ただそれだけを、願っていた。
何度、伝えようとしただろう。
言ってもいいのなら、もうとっくに伝えてるよ。
この血を引いていなければ。
たった一言が、言えなくて。
いつも見ているだけだった。
自分の置かれた境遇では、とても伝える勇気はなくて、
ならばせめて、近くにいられればいいのだと、何度も自分に言い聞かせてきた。
けれど、想いは募るばかりで。
そのたびに、変えられない事実が邪魔をした。
「なまえ」
今まで何度、この言葉を伝えかけて。
何度、自分を止めたのだろう。
伝えたくて、だけれどそれは許されない。
そう何度も何度も、言い聞かせてきた。
「好きだ」
“おれ、なまえが好きだ”
なぜ、こんなにも震えが止まらないのだろう。
海軍の船から降り、泊まる場所も見つけて、すっかり安心していた。
変わらない1日が、今日も始まるはずだった。
「よォ。久しぶりだな?」
声の主がゆっくりと近付いてくるのに対し、なまえの足は震えながら後ずさる。
「ずいぶん、探したんだぜ・・?」
目が覚めて、ちょうど身支度が終わったころ、部屋のドアを叩く音がした。
ホテルのボーイと思いこんだのが、間違いだった。
視界に入ったのは、うつむき加減の顔を器用に隠した、黒髪に映えるオレンジのテンガロンハット。
反射的に後ろを振り返り、窓の外を見ると、そこには美しい、青い翼が空を舞っていた。
もう逃げられない。そう悟った。
「ずっと探してたんだ。お前がいなくなった日から、ずっと」
それはなまえが知っている、無邪気に笑う彼の姿ではなかった。
「なぁ、何でなんだよ。何で急に姿を消した?」
簡単に理由が言えるなら、逃げる必要なんてなかったのに。
「答えてくれよ、なまえ・・・」
なのにどうして、
どうしてあなたが、そんなに苦しそうな顔をしているの、
『エース、あなたこそ・・・なぜ黙っていたの?麦わらのルフィは、あなたの弟だと・・・』
その言葉に、エースは確信せざるを得なくなった。
彼女は自分のせいで、姿を消したのだと。
騙していたつもりは全くない。
けれど、どこか心苦しい。
「確かにルフィは・・・おれの弟だ。それは事実だ。だけど・・・」
この感覚を、エースはずっと昔から知っている。
「今・・・なまえの前にいるのはルフィじゃねェ。おれだ」
望んだわけじゃないのに。
世間はそれを、許しはしなかった。
「お前は、おれを見てはくれないのかよ・・・」
ロジャーの息子。
頼んだ訳でもないのに、ロジャーに向けられる世間の冷たい目。
生きる意味を、問い掛けた。
エースが望んだのは、肩書きも何もかも捨てて、ただ自分を自分として、見てほしい。
ただ、それだけでよかった。
「確かにおれはルフィの兄貴だ。でも・・・おれはおれなんだ。お前は、おれを見てはくれないのかよ!おれは、なまえを・・・」
ずっと見ていたのに。
願ったことはただひとつ、
万が一、彼女がすべてを知ったとしても。
変わらずにずっと、その優しい微笑みで笑いかけてほしいと。
ただそれだけを、願っていた。
何度、伝えようとしただろう。
言ってもいいのなら、もうとっくに伝えてるよ。
この血を引いていなければ。
たった一言が、言えなくて。
いつも見ているだけだった。
自分の置かれた境遇では、とても伝える勇気はなくて、
ならばせめて、近くにいられればいいのだと、何度も自分に言い聞かせてきた。
けれど、想いは募るばかりで。
そのたびに、変えられない事実が邪魔をした。
「なまえ」
今まで何度、この言葉を伝えかけて。
何度、自分を止めたのだろう。
伝えたくて、だけれどそれは許されない。
そう何度も何度も、言い聞かせてきた。
「好きだ」
“おれ、なまえが好きだ”