その頃麦わらの一味はというと、小さな島に上陸していた。
なまえが白ひげ海賊団の元へ行ってから、初の上陸。
なまえの一件により、前より活気がなくし、しんみりとした雰囲気の一味。

いつもならば、上陸すれば大喜びするはずなのに、それもない。
いつまでもこの状態が続くのは良くないとわかってはいるものの、長い戦いを前に、どうすればいいのかわからないというのが心境だった。

“お前らは、なまえを助ける方法を探せ”

エースは確かにそう告げた。
彼女を助けるためには、ルフィ達が前に進むしかないと頭では理解していても、心が伴わない。
このままでは、いつまで経っても前に進めない。
それもすべて、わかっているのだけれど。

それぞれの目的のため、ゾロを船に残して全員が船から降りていく。

人の気配はなく、どうやら、無人島らしい。

食料調達のためにひとり歩き出したサンジの頭に、自分の料理が食べれないと、大粒の涙を流したなまえの姿が過った。

彼女はちゃんと、食べているのだろうか。
ろくに食べれずに過ごしていた彼女が、幼い頃の自分と重なる。
痩せ細る彼女の姿を、見たくなかった。

身体は大丈夫だろうか。
無理していないだろうか。
白ひげ海賊団で、皆と上手くやっているのだろうか。


なまえちゃん、
君は今、ちゃんと笑えてるのか？

あの時、無理にでも行かせなければ良かったのか。
ここにいろと、ただ一言そう伝えられていたら、こんな結末にはならなかったのか。
変わらず一緒に、旅を続けられていたのだろうか。
何回そんなことを思って、何回後悔したのだろう。

ここで何を思っても、その想いが彼女に届くことはない。

それもわかっていても、頭に浮かぶのは、彼女のことだった。