伸ばしたその手は蒼き世界へ
Your Name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これがファイが知る、すべての真相だった。
ベルシアという失われた国がかつて存在したことを表す、唯一の証拠。
それがなまえ自身であり、何も知らないとは言っても、彼女も悲劇の運命に巻き込まれた犠牲者なのだ。
「300年という時を超えたなまえ王女に、本当の意味で自由に生きてほしい。そしてルフィさんたちならば・・・安心して任せられるとマーサ様は思ったのでしょう。まさか海賊になるなんて、予測もしていませんでしたよ」
自分が王族であったこと、
政府に消された国の生まれであること、
伝説の力で争いが起こったこと、
そして深く長い眠りについていたことなど、何も知らないほうがいい。
なまえに何も教えないという選択は、マーサの優しさでもあり、愛情だった。
自由を奪われた先祖の代わりに自由を手にしてほしいと望み、そしてルフィたちを認め、自分たちが代々守ってきた大切な存在を預けたのだ。
「しかし・・・今のこの状態はとても深刻だ。セプトクルールの使い手が闇魔術にかかっているということは・・・300年前、政府が危惧したことが現実になっている。彼女に力を使わせ、何か事件が起これば、政府はどんな手を使ってでも彼女を捕らえ、もしかしたら生かしておかないかもしれない」
世界政府にとっても都合が悪いこの状況、
事が起これば間違いなく、なまえを捕らえにくるのは間違いない。
闇魔術を解く方法があればすべて解決するのだが、その方法が見つからないとなれば、これは深刻な問題にしかならない。
記憶を消せば解けるかもしれないとリンデルが言っていたことをチョッパーが伝えたが、ファイは難しい表情を浮かべた。
「可能性のひとつとしてはあるかもしれませんね。しかし100%の保証はないのも事実。この呪いは深いものです。彼女の呪いが解けないまま記憶を失くすということは、逆に恐ろしい事態を招くかもしれません」
常識外れの闇魔術に、ごく一般の方法が通じるかはわからない。
「ひとつ救いと言えることは、闇魔術は記憶のすべてを消したわけではありません。彼女の記憶が戻るのを待つのが最善としか・・・今は言えないでしょう」
これは想像以上に長い闘いになることを表していた。
なまえが敵の手に堕ちないこと・・・
エースたち白ひげ海賊団を信じること。
それが、今の一味にとっての最善の策であることを知らされる。
しかしそれは、第三者が物理的に解決できることではないという意味も、同時に表していた。
予想はしていたが、深刻な事態となっていることを改めて思い知ることとなった。