伸ばしたその手は蒼き世界へ
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ナミの手から、カップが滑り落ちる。
その数秒後には、食器が割れる音が室内に響き渡った。
普段は冷静なゾロでさえ表情を変え、
ロビンも言葉を失っていた。
誰が、こんなことを予想しただろう。
「なまえさんが・・・300年前に滅んだ国の王女だと・・・!?」
まるで、時が止まったようだった。
覚悟はあるかと、聞かれたばかりだというのに。
あまりにも突然の内容に、誰もが驚きを隠せない。
怖気づいたわけではない。けれど・・・
こんな事があるのか、
遥か昔の出来事、歴史として語られ、ましておとぎ話にもなっている人物が自分たちの仲間だというのか。
そんなことが、あり得るのか。
「そんなの、ただの偶然かもしれないじゃねぇか!世の中には、同じ名前の人間くらいいくらでもいるだろ!!同一人物である証拠はあるのかよ!」
先陣を切ってそう反論したのは、ウソップだった。
当然、急にこんな話を聞いて、はいそうですかと納得する人間はひとりもいないだろう。
ウソップの言うことにも一理あるのだ。
同じ名前の人間など、世の中にはたくさんいるだろう。
偶然で片付けたい。そんな思いに真っ先に逆らったのは、今まであ黙って話を聞いていたサンジだった。
「虹神。七色の光。ジュエル島、闇魔術。偶然で片付けるには、あまりにも条件が一致しすぎてる。疑う理由は・・・ないんじゃないのか」
彼女が持つ力は、現にセプトクルールと呼ばれるものだ。
ロビンが読んだ絵本の内容も、ファイの話とほぼ一致している。
これは、単なる偶然ではない。そんな確信を持った言葉だった。
「信じてもらえねぇかもしれねぇが・・・おれの呪いを解いたのは・・・おれを助けてくれたのは、なまえちゃんなんだ」
サンジから飛び出した予想外の言葉に、全員がまた驚きを隠せなくなる。
「なまえちゃんが来たんだ・・・それから、嘘のように痛みはなくなった。夢だと思ってた。呪いをはじいたという話が本当だとしたら・・・おれはこの話が作り話とは思えない。そして夢だとも思わない。確かにおれを助けてくれたのは・・・なまえちゃんだ」
「なまえが、来たのか!?」
船長の問いかけに、コックは首を横にふった。
実際、あのときは意識ははっきりしていなかったのだ。
けれど、幸せな夢で終わらせてしまうには、あまりにも都合が良すぎた。
助けてくれたのだ、間違いない。
はっきりとしない記憶は、確信へと変わった。
呪いをはじき、国を救った彼女ならば、もしかして。
確証はないが、そんな思いがサンジの中には芽生えていた。
「君・・・もしかして、なまえ様の何かを持っていないか?」
ファイに聞かれて一瞬考えたものの、心当たりがひとつだけあった。
「これか・・・?」
シャツを捲って見せた彼の手首には、前になまえが彼にお守りとして渡した、青い宝石のブレスレットが輝いていた。
襲撃にあった時に壊れてしまい、宝石は欠け、決して良い状態とは言えないものだったが、サンジはどうしても、これを手放すことが出来なかった。
いつもはジャケットを着ていて手首が見えることもなければ、料理をしているときにはきちんと外していたため、仲間たちが気付くことはなかったが、彼女への申し訳なさと責任感から、彼はブレスレットをずっと身に着けていたのだった。
「それだ、それで君を守っているんだ・・・!」
彼女が持つ力は強く、呪いを退ける力が身を守ったのだろうとの推測に、サンジは衝撃を受けた。
こんな不完全な形でも、
彼女は自分を守ってくれているというのか。
離れてしまった今でも自身を守り続けてくれた彼女のその思いは、仲間であることの証拠である、そんな希望の光が見えたような気がした。
「なまえ様が目覚める“約束の時”に、王族の末裔は虹神の力で祭壇を開く。
ジュエル島の長老マーサ様は・・・セレサ様の血を引くベルシア王族の最後の末裔です」
「なまえのばーさんが、王族の末裔!?」
「はい。300年の時を超えて・・・なまえ王女が目を覚ます、“約束の時”を迎えた王族は、やっとその役割を終えたのです」
目を覚まし、やっと自由になったなまえは、幸か不幸かまだ幼かったため、何も覚えていなかった。
そのままマーサの孫として育ち、島民から愛されて育ったのだ。
そしてルフィたちと出会い、海へと出ることとなる。