伸ばしたその手は蒼き世界へ
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盛大な宴が始まってから、数時間が過ぎた。
気付けば空は漆黒に覆われ、星が美しく輝いていた。
クルーのほとんどが酔い潰れ、見るも無残な状態だった。
いつ何時敵襲があるかわからないというのに呑気なものだと、マルコはひとりため息をつきながら後片付けに追われていた。
すっかり酔いつぶれ、ひとり離れたところで風に当たっていたエースに、なまえはそっと近付いた。
『エース』
優しい声に急に呼びかけられ、エースはびっくりしたように振り返る。
「どうした?何かあったか?」
サッチに何か変なことでもされたのではないか 、それが真っ先に頭に浮かんだが、なまえは首を横に振って否定の意思を示すと、ふわりと微笑んだ。
『エースにお礼が言いたかったの』
「礼?」
『ええ。あの時エースに会わなかったら、今頃は命がなかったかもしれないわ。本当にありがとう。感謝しているわ・・・』
「・・・・・」
返す言葉が見つからなかった。
“あの時”というのは、麦わらの一味にいた彼女が、エースに助けを求めた時のことだろう。
弟が、弟たちが、そんなことをするはずがないのに。
そう、叫びたかった。
彼女は呪われている。
そのことを彼女自身は知らない。
彼の弟の元にいたなまえは、弟を敵だと思っている。
そして、自分がその兄だということも、知らないのだ。
まさか、麦わらの一味と共に旅をしてきたなど、今の彼女には決して信じられない夢物語。
自分が呪われていることも、
彼女にとっては、おとぎ話の世界の話ぐらいにしか思わないのだろう・・・
複雑な想いが交差する。
でも、彼女は何も知らないのだ。
彼女が悪いわけではない。
そうか、と答えるのが精一杯だったが、また彼女は優しい微笑みを向けた。
幾多の人間を魅了してきた歌姫が、今この瞬間、エースの為だけに笑っている。
理由はともかく、白ひげの言う通りに、彼女がこの船に乗ったのは何か縁があるのだろう。
心配するな、ルフィ。
なまえは、必ず守る。
何があっても、必ず。
だから、
ー必ず、助けろ。
進む道は違えど、
同じ目的を果たすべく、兄弟は広き海を航る。