伸ばしたその手は蒼き世界へ
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その日の夜は、格段に月が美しく輝く夜だった。
気まぐれな痛みから解放され、やっとの思いで眠りについたサンジは、自分の髪を撫でる優しい手の感触に気づき、ふと目を覚ました。
はっきりしない意識の中で、誰かが髪を撫でているのは分かったのだが、
疲労困憊の身体はひどく重たく、思うようには動かせなかった。
「誰だ・・・?」
はっきりしない意識の中で、誰かわからない相手に彼はそう問いかけた。
『サンジ君』
その問いかけに答えてくれたのは、
思いがけず、とても優しい声だった。
聞き覚えのある、優しい声。
そう、それはまるで、歌姫のような。
嘘だ、そんな訳がない。
そうか、夢か・・・
夢だと思ったその瞬間、サンジの表情は少し和らいだ。
呪いをかけられてから、夢を見るほど眠れることなど一度たりともなかった。
久々に見れた夢が、まさか彼女の夢だとは。
「なまえちゃん・・・」
かすれながら呼んだその名前に、彼女は優しく微笑み返してくれた。
ああ、何て幸せな夢なのだろう。
彼女はいつだって、その優しい微笑みを、多くの人たちに向けてきた。
何て美しいのだろう。
彼女はいつでも変わらずに、いつもその目を皆に向けていた。
でも、今は。
その瞳も声も、おれだけに向けられている。
なんて幸せな夢なのだろうか。
叶うならば、どうかこのまま覚めないでほしい。
“助けに来たわ”
“あなたはまだ・・・叶えるべき夢がある”
額に、ふわりと柔らかいものが触れた。
途端に、引きずり込まれるように、意識が沈んでゆく。
その優しく、意志の強い瞳に、
おれは、何度・・・
けれど今の彼女の瞳は、
どこか悲しげな色を映していた。
夢の中でさえ、彼女はどうしてそんな悲しい顔をするのか。
自分が、そうさせているのだろうか。
靄がかかったように、夢と現実の狭間を移ろう意識の中で、最後に彼が見たのは、美しい歌姫の後ろ姿だった。
彼は知らない。
彼女が最後に、紡いだ言葉を。
“さよなら、サンジ君。どうか幸せに・・・”
気まぐれな痛みから解放され、やっとの思いで眠りについたサンジは、自分の髪を撫でる優しい手の感触に気づき、ふと目を覚ました。
はっきりしない意識の中で、誰かが髪を撫でているのは分かったのだが、
疲労困憊の身体はひどく重たく、思うようには動かせなかった。
「誰だ・・・?」
はっきりしない意識の中で、誰かわからない相手に彼はそう問いかけた。
『サンジ君』
その問いかけに答えてくれたのは、
思いがけず、とても優しい声だった。
聞き覚えのある、優しい声。
そう、それはまるで、歌姫のような。
嘘だ、そんな訳がない。
そうか、夢か・・・
夢だと思ったその瞬間、サンジの表情は少し和らいだ。
呪いをかけられてから、夢を見るほど眠れることなど一度たりともなかった。
久々に見れた夢が、まさか彼女の夢だとは。
「なまえちゃん・・・」
かすれながら呼んだその名前に、彼女は優しく微笑み返してくれた。
ああ、何て幸せな夢なのだろう。
彼女はいつだって、その優しい微笑みを、多くの人たちに向けてきた。
何て美しいのだろう。
彼女はいつでも変わらずに、いつもその目を皆に向けていた。
でも、今は。
その瞳も声も、おれだけに向けられている。
なんて幸せな夢なのだろうか。
叶うならば、どうかこのまま覚めないでほしい。
“助けに来たわ”
“あなたはまだ・・・叶えるべき夢がある”
額に、ふわりと柔らかいものが触れた。
途端に、引きずり込まれるように、意識が沈んでゆく。
その優しく、意志の強い瞳に、
おれは、何度・・・
けれど今の彼女の瞳は、
どこか悲しげな色を映していた。
夢の中でさえ、彼女はどうしてそんな悲しい顔をするのか。
自分が、そうさせているのだろうか。
靄がかかったように、夢と現実の狭間を移ろう意識の中で、最後に彼が見たのは、美しい歌姫の後ろ姿だった。
彼は知らない。
彼女が最後に、紡いだ言葉を。
“さよなら、サンジ君。どうか幸せに・・・”