伸ばしたその手は蒼き世界へ
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みんなが寝静まった夜、
なまえはひとり、部屋でぼんやりとしていた。
みんなが助けてくれたことには感謝している。
言葉には出さないものの、みんな心配そうな表情を浮かべていた。
きっと、白ひげの耳にも入っただろう。
でも、不謹慎にも、
海の中に、もう少しいたかったのも事実。
涙も、血も、雨も、風も、光も、闇も。
海は何もかもを飲み込んで、
けれど決してその青が、汚れることはない。
いろいろ考えていると、ドアを叩く音がした。
誰かがこんな夜中に訪ねてくるなど、今まで一度もなかった。
ドアを開けるか迷っていると、聞き慣れた声が耳に届いた。
「なまえ、おれだ」
『・・・エース?』
急いでドアを開けると、エースが立っていた。
その表情は、何か思い詰めているようにも見えた。
『こんな時間にどうしたの?』
「いや・・・ちょっとな」
とりあえず入ってと促すと、エースは素直に部屋に入って来た。
なまえには小さいながらも、ひとり部屋を与えられている。
もとは倉庫で、急いでサッチ達が掃除をして使えるようにしたのだ。
『キッチンで何か飲み物貰ってくるわね。待ってて』
「なぁ、なまえ・・・」
部屋から出ていこうとした彼女を、エースは引き留めた。
「何で、飛び込んだんだよ」
『え?』
「何で、海に飛び込んだ?」
なまえをまっすぐ見つめるエースの視線に、誤魔化せないと悟った。
見られていたのか。
あの時エースは、甲板でなまえを見つけて声をかけようとした。
その瞬間、彼女は自ら海に飛び込んだのだ。
そう、なまえは落ちたのではなかった。
「なぁ、何でだよ」
口を開かずに背を向ける彼女の手を掴み、無理やり自分の方へと向かせる。
どうしても、納得出来なかった。
「みんなにはあえて言わなかった。俺は理由が知りたい。何であんな真似をした?」
彼女が自らその身体を海に落とす選択をした理由を知りたくて、
エースは落ちたと告げたのだ。
『・・・何となく、よ』
「何となく?本当にそんな理由か?」
賢い彼女が、そんな理由でエースが納得出来ると思うはずがない。
『・・・私は自分で自分がわからない。何処で何をしていたのか。どうしてジュエル島から出たのか。時折、私の頭の中に出てくるあの声が、誰なのか。自分のことなのに、わからないの。
だから、海に落ちてみたら・・・もしかしたら、何か変わるかもしれないと思ったの』
それは一種の、歌姫の願いから出た行動だった。
「・・・あの時、俺の目の前で海に落ちたお前を見て、心臓が止まりそうになった。それと同時に、すげぇ腹が立った。何が不満なんだ、何のために、何でそんなことするんだって。でも、それよりも」
“離せマルコ、早くしねぇとなまえが!”
“バカ野郎!お前は泳げねぇんだよいっ!お前まで沈んだらどうするんだよい!”
「海に落ちたなまえを助けられねぇ自分自身に、心底腹が立った。サッチが助けるのを見て、自分の無力感を思い知らされた。おれは海に落ちた仲間1人、助けられねぇんだって・・!!」
人間離れした能力と引き換えにした身体は、海に落ちていく彼女を救うことを、決して許しはしなかった。
能力者であることを、初めてここまで恨めしく思った。
『エース・・・』
まさか、彼がそこまで思っていたとは。
初めて知った彼の気持ちに、浅はかな自分の行動を、なまえは今になって後悔した。
ごめんなさい、と謝ろうと口を開いた瞬間、思いっきり抱き締められた。
骨が折れそうなほどの強さだったが、拒否することは出来なかった。
「頼む、なまえ。もう二度とあんなことするな!おれはもう絶対に・・!二度とあんな思いはしたくねェ・・・!」
『エース・・ごめんなさい』
まるで引き留めるかのように強く抱き締めるエースに、なまえはただ、謝ることしか出来なかった。
なまえはひとり、部屋でぼんやりとしていた。
みんなが助けてくれたことには感謝している。
言葉には出さないものの、みんな心配そうな表情を浮かべていた。
きっと、白ひげの耳にも入っただろう。
でも、不謹慎にも、
海の中に、もう少しいたかったのも事実。
涙も、血も、雨も、風も、光も、闇も。
海は何もかもを飲み込んで、
けれど決してその青が、汚れることはない。
いろいろ考えていると、ドアを叩く音がした。
誰かがこんな夜中に訪ねてくるなど、今まで一度もなかった。
ドアを開けるか迷っていると、聞き慣れた声が耳に届いた。
「なまえ、おれだ」
『・・・エース?』
急いでドアを開けると、エースが立っていた。
その表情は、何か思い詰めているようにも見えた。
『こんな時間にどうしたの?』
「いや・・・ちょっとな」
とりあえず入ってと促すと、エースは素直に部屋に入って来た。
なまえには小さいながらも、ひとり部屋を与えられている。
もとは倉庫で、急いでサッチ達が掃除をして使えるようにしたのだ。
『キッチンで何か飲み物貰ってくるわね。待ってて』
「なぁ、なまえ・・・」
部屋から出ていこうとした彼女を、エースは引き留めた。
「何で、飛び込んだんだよ」
『え?』
「何で、海に飛び込んだ?」
なまえをまっすぐ見つめるエースの視線に、誤魔化せないと悟った。
見られていたのか。
あの時エースは、甲板でなまえを見つけて声をかけようとした。
その瞬間、彼女は自ら海に飛び込んだのだ。
そう、なまえは落ちたのではなかった。
「なぁ、何でだよ」
口を開かずに背を向ける彼女の手を掴み、無理やり自分の方へと向かせる。
どうしても、納得出来なかった。
「みんなにはあえて言わなかった。俺は理由が知りたい。何であんな真似をした?」
彼女が自らその身体を海に落とす選択をした理由を知りたくて、
エースは落ちたと告げたのだ。
『・・・何となく、よ』
「何となく?本当にそんな理由か?」
賢い彼女が、そんな理由でエースが納得出来ると思うはずがない。
『・・・私は自分で自分がわからない。何処で何をしていたのか。どうしてジュエル島から出たのか。時折、私の頭の中に出てくるあの声が、誰なのか。自分のことなのに、わからないの。
だから、海に落ちてみたら・・・もしかしたら、何か変わるかもしれないと思ったの』
それは一種の、歌姫の願いから出た行動だった。
「・・・あの時、俺の目の前で海に落ちたお前を見て、心臓が止まりそうになった。それと同時に、すげぇ腹が立った。何が不満なんだ、何のために、何でそんなことするんだって。でも、それよりも」
“離せマルコ、早くしねぇとなまえが!”
“バカ野郎!お前は泳げねぇんだよいっ!お前まで沈んだらどうするんだよい!”
「海に落ちたなまえを助けられねぇ自分自身に、心底腹が立った。サッチが助けるのを見て、自分の無力感を思い知らされた。おれは海に落ちた仲間1人、助けられねぇんだって・・!!」
人間離れした能力と引き換えにした身体は、海に落ちていく彼女を救うことを、決して許しはしなかった。
能力者であることを、初めてここまで恨めしく思った。
『エース・・・』
まさか、彼がそこまで思っていたとは。
初めて知った彼の気持ちに、浅はかな自分の行動を、なまえは今になって後悔した。
ごめんなさい、と謝ろうと口を開いた瞬間、思いっきり抱き締められた。
骨が折れそうなほどの強さだったが、拒否することは出来なかった。
「頼む、なまえ。もう二度とあんなことするな!おれはもう絶対に・・!二度とあんな思いはしたくねェ・・・!」
『エース・・ごめんなさい』
まるで引き留めるかのように強く抱き締めるエースに、なまえはただ、謝ることしか出来なかった。