その日の夜遅く、みんなが寝静まった静かな学生寮。

静かに部屋を抜け出し、ひとり屋上へとやって来たサンジは、急に襲ってきた胸の痛みに耐えきれず、レンガ造りの地面に膝をついた。

「ぐっ・・・・・・」

荒い呼吸をするのがやっと。

痛い、苦しい、辛い。

身体が悲鳴を上げる。
仲間に心配はかけまいと、大したことはないと大丈夫なふりを演じても、限界があった。
みんなが寝静まり、ひとりになった瞬間、まるで糸が切れたかのように脱力してしまう。

思っていたよりも、自身を蝕む闇の力は強いらしい。

もしかしたら効くかもしれないと、チョッパー特製の痛み止めを飲んでも、気晴らしにタバコを吸っても何の意味もない。
いたずらに響く痛みのせいで、夜も満足に眠れない日々。

「情けねェな・・・」

ロビンを庇ったことに、後悔は一切していない。
彼女にこんな苦しみを味わわせなくて良かった。
自分のほうがまだ耐えられる。

「お前の命を奪うのは実に惜しい」

確かにクレスはそう言っていた。
となれば、命を奪われることはないだろう。

でも―

サンジを襲う痛みは想像以上のもので、
それは生きていることが、苦痛になるほど。


いっそのこと、楽になりたい―


生きる力を奪っていくとは、こういうことなのか。


“闇に縛られたその身体で、苦しみながら生き延びてみるがいい
”

自身を闇に縛り付けた女の冷たい瞳が、頭から離れなかった。